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Cappuccino 日記(2007/5)

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5/1

リビルド E/G メーカーから、問い合わせについての返信があった。
内容はとても真摯なものであり、お礼とともに追加情報を送る。

なお、基本的には「油脂類の指定粘度は純正と同じ」「油圧は出荷前に測定済」
だそうで、5W-30 突っ込んでれば大丈夫らしい話であった。ってことはやはり、
慣らし中という特殊事情のためか、または 5W-30 だとこんな程度で正解なのか。

あとはひたすら、仕事仕事。


5/2

今日は自主的 OFF 日。エンジン慣らし前半(〜500km)を、今日中に終わらせる。
明日からは GW 後半の連休に入るので、道路は超混雑が予想される。とてもじゃ
ないが、慣らしのためにまったり速度でユルユル走るなんてできそうにない。

というわけで、10時過ぎに起床したらとりあえず出発。ルートは、琵琶湖一周。
琵琶湖一周の距離は、およそ 200km。それぐらい走れば、エンジンを積み替えて
ちょうど 500km ぐらいになるので、第一段階の締めくくりとしては満足だ。



水温計の針がCの目盛りの下端に触れるところまで暖機したら、ゆっくりとした
足取りでスタート。幹線道路に出るまでマターリと走って、各部を暖めておく。
しかし、幹線道路に出てもどうせアクセルを踏み込めないので、マターリ走行は
あまり変化なし。深く曇った空の憂鬱な調子に合わせるかのように走る。

R161 に入って京都を離れ、まずは志賀へ向かう。蛍光灯のような薄ら寒い色の
光を放つ雨雲から、幾らかの雨が降り落ちている。タイヤの溝の少なさを思い、
身震いする思いも感じたりするが、排水性が問題になるほどの速度も出せるまい。
あまり深くは気にせず、自分の体に伝わる3軸の加速力だけに神経を研ぎ澄ます。

GW の中日のお陰か、湖西名物の自然渋滞もさほど深刻なものではない。交通量こそ
かなり多いものの、それはある意味で願ったり叶ったりでもある。ちょこちょこ
回転計と油圧計に目を走らせ、目標の回転数付近にて機関を運転する。



まもなく、志賀に到達。ここで湖西道路は終了。エンジンブレーキで坂を下り、
R161 に出る。油圧を確認するが、やはり最大で 2.1kg/cm2程度しかなく、
この先に続く長い旅路を思うと、幾ばくかの不安も感じる。だが、行くしかない。
左折して R161 北上ルートに入り、白髭神社までの市街地ルートを走る。

白髭神社を抜けると、そこから 2車線。天候は更に悪くなり、速度を上げた各車の
タイヤからは大きな水煙が巻き上がる。そんな路面状態であることと、4000rpm
縛りであることの2つが作用し、こちらは比較的スロースペースで推移。だが、
それでも他車よりも若干ペースが速いようで、2車線区間で多くのトラックをパス。
GW の中日でやる気ナスなのかもしれないが、優良ドライバーが多いのは喜ばしい。

高島に入ると、天候は少しずつ回復。路面はまだまだ水浸し区間が多いものの、
これ以上降らなければどうということはない。ただ、そのせいかどうか、饗庭を
超えたバイパス区間では全体のペースが相当高いものになり、こちらの制限が
交通の円滑な流れの邪魔になりはじめた(汗)適当な I.C. を見つけては
数珠繋ぎになった後続車両を流して・・・という作業を繰り返す。

そのうち、後続車両もいなくなった。マキノの先の上り坂は少し過酷なので
いろんな意味でちょうどいい。ぴったり 4000rpm を維持して坂を上り、
上りきったところにある道の駅で一旦休憩。油圧計の針を確認すると、
アイドリングでほぼ 0.50kg/cm2を示す。わずか 0.05kg/cm2の差だが
確実に油圧が出るようになりつつある。慣らしが進んできた証拠と思おう。

トイレを済ませてから、どことなく春めいた店先の飾りをくぐり、店に立ち寄る。
販売されている地産の野菜を物色。椎茸とホウレン草を購入。合わせて売られて
いたワカサギの天麩羅なども食してみたい気分に駆られたが、帰宅するまでに
かかる時間を考え、断念。これが帰路の話であれば、買って帰るのだけれど。。。
あぁ、はや空腹にも近くなった我が腹腔に直撃を撃ち込んでくる、この見目麗しき
黄金色の天麩羅よ。だが、武士は二君に見えず。今生は艶やかな野菜に従おう。

緑色の宝石が入った袋を携え、少しエンジンの冷えたカプチーノの所へ戻る。
エンジンを始動し、油圧が少し回復しているのを確認したら、ゆっくりと出発。



まもなく訪れる R303 との接合点で、R161 と別れる。これにて北上を終え、
右八点の単独回頭。東へと転針し、R303 を走って湖西から湖東へと渡る。

R303 まで来ると交通量も激減し、快走路となる。ここに至ってようやく、部分的
ながらも平坦路が出現し、5速ギアに入れられるようになる。しかしながら、
回転数が低いのか、5速で走るとドライブトレイン付近から伝わる振動が
ちょっと気になるほどに大きい。シリが痒くなってくるぐらい。この振動、
あくまで 5速だけなんだけど、ベアリングが痛んでいるのか、何なのか。
故障というほど酷くもないけど、一度、ミッションのリアセクションを開けて
とりあえずベアリングだけでも確認したほうがいいのかも。前もそこ壊れたし。

湖北のトンネルをいくつか抜け、木之本に程近い田居交差点に到達。ここで再び
右八点の単独回頭。R8 を離れ、湖岸沿いのルートを選択する。考えてみれば、この
余呉川沿いのルートを通るのは初めてだ。だが、ルートとしてはメジャーらしく
ナビの画面では、VICS の渋滞インジケーターが緑色を示している。何もわざわざ
交通情報を出すまでもない程度の、両側を田んぼに挟まれた快走路なのだが。

交通量はそれなりにあるものの、信号が無いが故に流れは快調。ゆったりとした
ペースで走る前走車を追い越すこともなく、湖北の農地を抜ける。ふと、右手側を
見ると、そこには見上げるほどに高い山が連なっている。この向こう側が琵琶湖。
つまり、この区間では、この道が一番琵琶湖に近い道、と考えてよさそう。

しばらく走ると、道路はまるで誘われるかのようにフラフラと西へと偏っていき、
先ほど見上げた山を湖の中に蹴落とすようにして、湖岸沿いへと戻っていく。
ひさびさに見る琵琶湖の美しい輝きに心を奪われるまもなく、道の駅へ到着。



って、こんなところに道の駅があったんだ。知らなかった。もうちょっと南へと
下ったところにも道の駅があったはずだから、このあたりは道の駅だらけだな。

ともかく、ここでいったん休憩。曇天が切れ、ゆったりとした陽光が降り注ぐ
道の駅の駐車場横で暇そうに休憩を取っているたこ焼き屋台のおっさんを尻目に
店内に入り、土産を物色。ここの土産はなかなか充実しており、心を奪われる。
つい先日の「鉄腕 DASH!」で放映していた鮒寿司なんかも売られていた。少し
食ってみたい気もしたが、一回給油できるぐらいの立派な値段を見て諦める。

店を出て、出発前にタイヤの空気圧をチェック。少し重い感じがしていたのだが、
案の定、温間で 170kPa という、ちょっと低めの値になっていた。抜けてるかな。
だが、全然足りないというわけでもないので、とりあえずはこのまま走る。



道の駅を出た後も、湖岸沿いにべったりへばりつく様にして走り、長浜を過ぎて
彦根へ到着。そういえば、彦根城は湖岸のすぐ近くにあったかな。彦根城かぁ。
せっかくだから俺はひこにゃんストラップを選ぶぜぇ!左折して市街地へ。

彦根の市街地は、例の築城 400年記念だかいう話でえらく盛り上がっているようで
少し内側に入ると、至るところに「彦根城 P」という道路案内看板が上がっている。
だが、案内通りに走ってみても、なかなか駐車場が現れない。民間の時間貸しすら
全然見つからない。たまたま入り込んだ城下町風の商店街の中には、いくつか
時間貸しが存在していた。だが、いずれも満車。駐車事情は実に劣悪だ。

結局、彦根城をすぐ右手に見るほどの位置に近づいても、満車の駐車場しか
見つからない。えぇぃ、こりゃダメだ。縁がなかったと思って諦めるか。。。

そのまま町を抜け、湖岸沿いの道路に戻ろうとしたところ、彦根城を離れる直前で
城の南西角に当たる小さな交差点に「P」の案内看板が立っているのを見つけた。
誘われるように、案内どおりに交差点を右折。より、城の中に近づいていくような
ルートを取る。やがて「この先自家用車は入れません」という看板に行き当たるが
どう見ても、そのすぐ先に駐車場があるっぽい。気にせず先へと進むと、ようやく
城の南側入り口のすぐ根元の駐車場に到着。駐車場の前に立っていた係員が
何も言わなかったところを見ると、あの看板は意味がなかったのか。紛らわしい。

敷地内に立っていた地元のおばちゃんに 400円を支払い、未舗装の地面に駐車。
雨が降ったためか、埃が立たなかったのは幸い。ここは臨時駐車場なんだろう。



堀を渡った先の受付で入場料 1000円を払い、門を通過。通過したところで、
いきなり道が左右に分岐している。右は上り坂、左は平坦路。どう考えても、
ラスボス一直線なのは上り坂。私と時を同じくして入城してきた人は皆、まるで
砂糖の匂いを見つけた蟻のような勢いで坂を上っていく。しかしやっぱり、
せっかくだから俺は左の平坦路を選ぶぜぇ!初っ端から挫折するという、
プレイ開始後10分で BAD END 一直線は確実だろうと思しきルートを選ぶ。

誰も居ない平坦路をてくてくと歩く。先ほどまで溢れていた人の躍動は無く、
「千年前に侍が馬に乗って駆け抜けた」夢の跡のような、いやむしろアレだ、
蛞蝓が苔の上を這った跡のように作られた獣道が、静かに私を迎えていた。

しばらく歩くと、花も葉も散り、行き倒れて黒く変色した老婆の手のように
不気味にくねった枝を虚空に伸ばす木々が立ち並ぶ亜空間に差し掛かる。
一体なにごとかと思えば、それは梅林らしい。元はここに穀倉があったらしい。
穀物を奪いつくした異界のモンスターの群れのようにも見える。想像力逞しく。

更に歩き続ける。道は何の変哲もない景色を見せていたが、やがて最奥についた
らしく、急なコーナーが現れる。山肌沿いに、かなりの鋭角で曲がるカーブ。

進入はこんな感じで、



山肌をナメつつ小さなRを維持し、続くストレートへ脱出する。



うう、なんて魅惑的なコーナーだ。ヒュホホホホッというバックタービン音を
合図に、コーナーの向こう側から横向いた WRC カーが入ってきそうな、
そんな錯覚すら覚えるのは、おそらく錯覚しすぎなんだろうな。

コーナーを抜けて少し歩くと、やがて階段を発見。ここから天守閣へ向かう。
んでまぁ当然のように天守閣の中に入るが、まぁ特に珍しいものではない。



連休中頃らしく無駄に渋滞している天守閣を上り、最上階から外を見る。
琵琶湖が見えるのはいいとして、反対側を見下ろすと、矢の的が並んで
立てられているのが見える。あぁ、そういえば「暴れん坊将軍」で、よく
吉宗が片肌はだけて弓を撃ってたのがこういう光景だったかなぁ。

天守閣から天下を眺めたら、城の中にある土産物屋を物色。2軒目でようやく
待望の「ひこにゃんストラップ」を発見。1個 450円。けっこう高いなぁ。

というわけで、アイテムをゲットしたのでフラグは立った。もはや城に用はない。
さっさと駐車場に戻ったら、エンジンを始動して出発し、湖岸道路を延々と南下。
心なしか軽く回る感触が出てきたエンジンをきっちりと 4000rpm まで回しつつ、
こねこねと曲がりながら南へとぐんぐん伸びる湖岸道路を快適に走行する。



やがて、琵琶湖大橋に到達。この時点での走行距離を見ると、意外と短い。ここで
大橋を渡ってさっさと帰ると慣らしの意味が薄くなってしまう。このまま南下。

だが、夕方が近づいてきたせいか、道路の混雑も始まってきた。VICS の予告通り
近江大橋まで下ったところで渋滞が始まったので、裏通りを抜けて R1へと逃げる。
このとき、ステアを大きく切ってゆっくり動くと何処からかゴリゴリ感が伝わって
くることに気づく。三週間ほどウマに乗ってたために動かされることのなかった
デフがごりごり鳴いているのか、それともタイヤが何かに当たっているのか。

R1 に入ったら、あとは語るところもない。瀬田川を R1 で飛び越え、大津を抜け
京都へ戻る。そして、旅の締めくくりとして、いつもの CoCo壱で
カレー成分を補充したら、いったん帰宅する。

帰宅時点で、アイドリング時油圧をチェック。0.50kg/cm2 程度か。
やはり、僅かずつではあるが、油圧は回復している。4000rpm まで回した状態の
油圧も、少しだが上がっている。2.2kg/cm2 ぐらい。やはり少しずつだが
発生する熱が下がってきていると考えるべきか。本当に慣らしが終わるのは、
この時点での油圧が、以前とほぼ同じ値を示すようになったときだろう。

なお、余談だが、トルクがかかった瞬間/抜けた瞬間の、デフの暴れがけっこう
きつい。とりあえず、デフマウント交換は必須と思われる。注文せねば。



・・・で、これで終わらないのが今日の慣らし。実は、琵琶湖一週って 200kmも
ないことが判明した。あと 60km ばかし走らないと、目標距離に届かない。
だが、道路が混雑してきたために一旦帰宅した。道路が空く夜になってから、
あらためて走ることにした。比良まで往復すれば。ちょうど 60km ぐらいだろ。

飯を食い、溜まりまくっている深夜アニメを処理しながら MapFan.PLANNER で
西大津バイパスの渋滞状況を確認。20時の時点で、目だった渋滞表示がないので
今がチャンスかと思い、出発。エンジンを始動し、出発。ゆっくりと住宅街を
走り、完全暖機になった時点で油圧確認。0.75kg/cm2 ぐらい。いい数値かな。

だが、さすがに GW 後半直前の夜だけに、VICS は青表示を出していても、どこか
交通の流れが悪く、動きのテンポが悪い車が多い。なんとなくイヤな予感を覚え
つつも、とりあえず R161 へ入る。京都を離れるまではそれなりに流れていたが
ちょうど湖西道路に入ったところから、謎の渋滞が開始。事故か路肩駐車かと
思ったが、数km ほど走った先にある軽い上り坂を過ぎたあたりで、渋滞が
突然消え去る。いわゆる「交通集中による自然渋滞」らしい(溜息)
今日でコレだったら、明日なんかはまったく思いやられるなぁ。

その後、蓬莱付近まで快調に湖西道路を北上したところで、ちょうど出発後 30km。
目的の距離は達することができたようだ。その先で折り返し、京都方面へと戻る。

帰路、少しずつ渋滞が始まる中で、多数のクルマに混じって路肩を走るスクーターを
見かける。だが、どー見ても 50cc の原付っぽい。・・・あれ?確か、湖西道路って
自動車専用道路扱いだから、125cc 以下は走れないはずでは・・・あぁ、GW だなぁ。



京都へと到着。トリップメーターの表示が 480km を指す。おお、頑張ってるよ俺。
当然ながら、燃料計の針はEなんかをとっくに通り越し、Eの目盛りよりも針2本
下まで下がり、もう完全に動かない状態になっていた。いつガス欠になっても
おかしくないように見えるのだが、逆に言うと、ここまでは確実に走れる。
仮に 18km/L 走るとしたら、540km までは走れるはずなのだから。

とはいいつつも、ドキドキしながらいつものガススタに滑り込み、給油。
どれだけ入るかと少し期待していたが、それでも 27L 弱入って終了であった。
うーん、まだがんばれたのか。燃費を計算すると、18km/L ちょい。なぁんだ、
あんなにアクセルの踏み込みを我慢したのに、こんな程度か。くたびれ損。

ともあれ、これで E/G 積み替え後 500km 走った。ここで再びオイルを交換し、
いよいよ自主的レブリミッターを少しずつ解除していこう。段々楽しくなるなぁ。

GS から帰宅後、油圧計を見る。アイドリングで落ち着いたところで、0.5kg/cm2


5/3

というわけで、朝からササッとオイル交換。ウマに低めにかけて、オイルを抜く。
ドレンプラグの磁石に付着している鉄粉の量はぐっと減り(大きな破片もなく)、
廃油の中の鉄粉もかなり少なくなってきた(透明度が上がってきた)。



うんうん、なかなか順調ではないか。

オイルを完全に抜いたら、フィルターを新品に交換し、オイルを放り込む。
Verbis Zero NA(0W-40)1.7L と FK/Massimo Street-S(5W-30)0.8L の混ぜ物、
すなわち 1.6W-37(?)。常用する粘度よりも、少し柔らかめには違いない。
だが、やはり -40 の血統は消せないようで、水温計の針が完全に上がる
までアイドリングした状態だと、油圧は 0.9kg/cm2ちょいを示していた。
明らかに、今までよりも 0.2/cm2程度は高い値を示している。勝利。

オイル交換を終えたら、MapFan.PLANNER で渋滞状況をチェック。見るまでもないが
名神〜東名は断続的であるが真っ赤に近い状態。さらに、連休名物の「故障車」と
「事故」のマークが1画面に見える範囲で3つほども表示され、それによって
発生した車線規制などが渋滞の成長に著しく寄与している様子が見て取れる。
当然ながら、渋滞は高速道路に留まらない。VICS 情報で表示される一般道路も
幹線に近いところは赤矢印が長々と連なり、麻痺状態に近いことを表す。

あぁ、こりゃあ外出なんてできたもんじゃない。昨日のうちに
慣らしに出かけておいて正解だった。



だが、近所の生活道路であれば、それほどの影響もなさそうだ。ちょっと外出。
5000rpm で問題ないかどうか確認するため、少しアクセルを踏み込んで走る。
慣らしの成果か、4000rpm まではほぼ滑らかになったが、4000〜5000rpm での
回転がまだガサついている。次はこの領域だな。一応、瞬間的に 6000rpm まで
回してみるが、特におかしな感じはない。よし、回転をあげるのは問題なし。

合わせて、ブースト 0制限も解除。EVC を OFF にして、久々にブーストを掛ける。
少し気になったのは、ブーストをかけた時の音が結構凄い、ということ。なんというか
「シューーッ」というターボの吸気音がかなりデカい。やっぱり、タービンの羽が
ピストンの破片で破損しているのではないか?と思ったが、排気側の羽が破損して
吸気音がでかくなるという理屈は無いし、ブーストのかかり方にも異常はない。
単に、エンジンの音が静かになったとか、久々に聞いたからとかだろうて。

むしろ、それ以上に気になったのは、ブーストをかけて 5000rpm まで回したとき
尻にビリビリ響く振動が、痒くなるほど強烈に伝わってきたこと。振動がデカイ?
前のエンジンはそうでもなかったのに。ハズレなのだろうか?不安が残る。これも、
慣らしが進んでいないがため、だろうか?もしそうだったら幸せなんだけど・・・
(エンジンマウント付近の組み付けミスとか、そういうモノかもしれないが)
ひょっとしたら、ミート時に妙な音が出るようになったクラッチのせいとかかも
しれない。まだ圧着力は衰えていないようにも思うが、やっぱ変えたほうがいい?

・・・それにしても、3速でブースト 0.5kg/cm2程度でも、めっちゃ
パワー感あるんですけど・・・こんなにパワー感なかったように思うなぁ・・・
とりあえず、最大でも 0.5kg/cm2、せいぜい 0.2kg/cm2ぐらいで
縛っておくことにした。これでも十分以上に加速する。



しつこく油圧メモ。5000rpm まで回して十分に暖めた後だと、アイドリングで 0.65、
3000rpm で 1.75、4000rpm で 2.5(いずれも単位は kg/cm2) か、それ以上。
やっぱり、オイルを変えると変わるなぁ。まだまだ、低いっちゃあ低いけと。

なお、アイドリングの回転がちょっと低すぎて不安定に感じたので、点火時期を
2°だけ進める。8°進めてもかなりの期間大丈夫だったので、これぐらいならば
まず大丈夫だろう。負圧も、300mHg から 340mmHg あたりで安定している。



作業を終えたら、あとはまた、仕事仕事。


5/4

本日は、前から依頼されていた AZ-1 氏の車高調の調整。別になんということも
ない作業なんだけど、購入してから一度も調整をしたことがない(!) 車高調の
全長調整部のネジがカチコチに固着してしまっていて、調整ができないらしい。
ショップのデフォルト状態だと車高が低すぎて車検も通せない、助けてドラミ!
ということだそうで、まぁカレー1杯の対価としては妥当かと考えたわけだ。

昼前の適当な時間に適当に到着した AZ-1 氏をガレージに招き入れ、作業開始。

とりあえず後ろから作業開始。ジャッキポイントの近傍を通るマフラーのパイプで
2.5t ジャッキがジャッキポイントに入らない低さなので、小さな 2t ジャッキで
よいしょっと持ち上げ、タイヤを外してショックを取り外す。ストラットなので
ショック外しはめっちゃ楽チン。ボルト4本を外すだけでスルッと取れる。

取り外したショックを軽く清掃してから、ブラケットを回そうと試みる。だが
噂どおり、渾身の力を加えたぐらいでは、ブラケットは回ろうとしてくれない。
拉致があかないので、さっさとハンマーを持ち出し、緩み方向にブラケットを
ポクポク叩く。最初は何も起きなかったが、ほどなく、ブラケットは少しずつ
回り始める。材質は鉄同士だから、おそらく錆びか何かで固着してるんだろ。

とにかく、叩く。叩きまくる。タタク、タタク、タタク、タタク、タタク。
「惑星メフィウス」の牢獄脱出にも似た作業を、ただひたすら繰り返す。
当然、ブラケットの塗装は剥がれて見た目にもブサイクになるが、とても
贅沢を言えた状態ではない。まぁ、塗装の剥がれは塗装しなおせばいいし。

十数分ほども頑張っていると、そのうち固着は完全に緩み、手でも回せるように
なった。こうなったらこっちのもの。ショックとブラケットを完全に分離したら
双方のネジ溝を掃除し、CRC5-56 を吹きつけながら組み立てなおす。ついでに、
車高を全長で 20mm 上げる。だが、いくらかレバー比が効いているのか、実際に
上がった車高は 25mm ぐらい。なかなか、一発で目論見どおりには行かない。

左側が終わったので、右側へ。右側については、まったく固着がない。リング
ナットを緩めたら、簡単にスルスルと回ってくれた。こちらも、ネジ溝に CRC5-56 を
給油しつつ分解清掃し、20mm ほど長さを伸ばしておく。これで完了。うむ。

リアが終わったので、続いて前へ。前のほうも同じように、なぜか左側だけが
かなりヤバいぐらいに固着していた。しかも、リアよりもずっと酷い状態で。
AZ-1 氏と適宜交代しつつ、気長にハンマーでポクポク叩き続けて緩める。
緩めた後のネジ溝には錆こぶらしきものが多数残っていたので、鉄ブラシで
ガリガリ削って落とし、CRC5-56 を塗ってからふたたび組み付ける。
前のほうも、リアと同じように 20mm ほど車高をあげておく。

以上の作業の結果、前の車高はフェンダーまで指2本半、後ろは指2本となった。
ほどよく上がった車高のため、走破性(?)はいたく向上しただろう。あとは、
運動性にどのような影響が発生したか、だ。これは雁が原あたりで実験しよう。



作業を終えたら、お駄賃のカレーをCoCo壱で食わせてもらい、あとは仕事仕事。


5/5

今日も朝から仕事仕事。

だが、さすがに疲れるので、時折休憩。なんとなく思い立ち、カプの元に行って
エキマニ〜タービン間のボルトを緩めてみる。案の定、焼きついて噛んでいた。
やっぱりメカさん、このボルトを締めるときにグリス塗ってなかったなぁ?

幸いにも、完全に噛んでネジ山が潰れたのは、3本のうち1本のみ。ただ、もう1本は
少し歪んでいるのか、山は大丈夫だけど、回りが少し渋い。タップとダイスにて
ネジ山を修正しておく。それにしても、純正の耐熱ボルトって、噛みやすいクセが
あるなぁ。タービンハウジングと材質が同じなのだろうか?設計に問題ありそう。
とりあえず、ネジ山を修正したボルトを含め、スレコン塗って締めなおす。

なお、エキマニ(純正)であるが、深い亀裂が更に1本追加されていた。そろそろ
寿命っぽい。新品マニ買うか・・・とか思いつつ、補修用に欲しいパーツを色々と
リストアップして表を作ると、\30k 越えた(汗)マジか。最低限必要なパーツ
だけに絞っても \15k ぐらい。補修するだけで大変だ。パーツ出るだけいいけど。


5/6

一応、今日が GW の最終日・・・らしいのだが、連日仕事なので実感まるでなし。
そんな気分にお誂え向きというべきか、今日はまとまった雨が降り続く1日。

仕事の合間に、気分転換とばかりにカプのエンジンを始動。完全に冷えている
状態だと、派手な排気漏れのような音が聞こえてくる。ヘッドまわりから響く
音も、なんとなく煩い。O/H したてのエンジンとは思いがたい感じ・・・

なんてことを思いながら細かく振動する F6A を眺めていると、ふと急に
慣らしの続きに出かけたくなった。こうなったらもう止められない。小一時間、
中規模な気分転換(?)を臨時に実施する。運転席に滑り込み、出発。



コースは、いつもの湖西ルート。仕事中にずっと表示させっぱなしにしている
MapFan.PLANNER 情報によれば、今日の湖西道路は意外とイケてるみたいだ。
その情報に違いはない。交通量は確かに多いし、バックミラーの中でちょろちょろ
左右に動く落ち着きの無い X-TRAIL が居たりしてちょっと気分が悪いものの、
道路の流れが悪化するということはない。ただ、天候が悪いことだけは如何とも
しがたい。トンネル内は霧のように細かくなった飛沫で満たされ、見通しが悪い。
いずれにしても無理はできない状態なので、流れを乱さない程度に走る。

京都を抜け、湖西道路入り口に到達。雨は相変わらず降り続いている。そのお陰で
いつもより余計に冷却できていることは喜ばしいのではあるが、それでもさすがに
5000rpm キープで走り続けると、油温はそれなりに上昇してしまうよう。ほぼ
5000rpm を維持している状態で 2.5kg/cm2。あと 0.2ぐらいは欲しい。

その後、志賀の折り返し点に至るまでの間、特に目立った問題は発生せず。
まぁ、最初はイヤイヤ回っていた 5000rpm 付近がすごく滑らかに回るという
劇的(?)な変化は現れた。これが慣らしの力というものか。折り返し点先の
ちょっとした空間で一旦停止し、ボンネットを開けてエンジンの状態をチェック。

出発前はなんとなくノイヂーだったエンジンだったが、30km ほど走って暖まると
音質も振動も、とても滑らかになっていた。おぉ、なんだかとてもシルキー(?)
これでこそ O/H 後のエンジンって感じだよね。本当に、静かに回るなぁ。



折り返し点を出発後、戻りルートを走る。やはり、若干なりともアタリがついた
ようで、5000rpm 上限でも綺麗に回る。少しずつブーストも掛け始めるが、4000〜
5000rpmでブースト 0.5kg/cm2まで踏んでみると、少し尻に響く振動が来る。
だが、それでも2〜3日前に感じた同種の振動ほどにはひどくない。ただ、振動も
4〜5速だと全然問題を感じないが、3速だといくらか振動を大きく感じる。
そうさなぁ、負荷をかけないと綺麗に回らない、っていう感じなのかなぁ。

なお、タービンからは、特におかしな音は聞こえてこない。エンジンの騒音との
バランスも、なんとなく聞きなれたものだ。。ブーストの掛りかたも悪くない。
おそらく、タービンの破損については、考えなくてもよさそうな気配だ。

それにしても・・・慣らしって、想像したよりはずっと楽しい作業だなぁ。
この、なんというか、アタリがついていくに従ってどんどん変わっていく感触が。



京都へ戻った頃には、5000rpm あたりを重点的に使った効果が出てきたようで
その回転域でのエンジンの動きが、少しおちついてきた。よしよし。

帰宅。現時点でほぼ 600km。もう 100km 粘ってから、6000rpm 上限にするかな。
5000rpm&ブースト 0.5 まで使えれば、ほとんどの場面で不自由しないもんね。

5/12

・・・さて。今日は、GW 中に果たせなかった悲願「慣らし後半」の実施。

「慣らし後半」とは、4000rpm → 9500rpm までの領域の慣らしのこと。
徐々に回転と負荷を上げつつ、安心して全開走行が可能な状態まで
エンジンを持っていく。慣らしのなかで一番楽しい(?)時期だ。

こういった条件なので、当然ながら一般道では実施がむずかしい。
かといって、ミニサーキットで 500km 走るんよというのも無理な話だ。
慣らし前半で重大な問題がないことは検証済みなので、高速道路を使って
手早く確実に慣らしを進めることにした。ギアをちゃんと選べば、ほとんど
流れにのった速度で実施することが可能であることもわかっているし。

さて、慣らしのコースだが、中国道−岡山道−山陽道を使った中ループか、
中国道−広島道−山陽道を使った大ループになる。中ループだと約 500km、
大ループだと約 1000km。中ループはタービン慣らしで走ったこともあるし、
今回はせっかくだから(中略)だぜえ!というわけで、大ループを選ぶ。



整備用具一式をトランクに積み込み、10時に 自宅を出発。一般道を走り抜け、
京都東から高速に乗る。GW から一週間が過ぎたせいか、道路の流れにも幾らか
落ち着きが戻っており、非常に走りやすい。ブースト計をチェックしながら
高速のランプを駆け昇り、本線に合流してペースを上げる・・・のだが、
現在装着している夏タイヤは偏磨耗が進んでおり、バランスが崩れて
ぬぬわを超えるとかなりきつい振動を発生する。手が痛くなるぐらい。
よって、本日はあまりペースを上げられないこととなった。しくり。

側方と後方を広く警戒しつつ、天王山 TN を抜けて吹田 JCT から中国道へ。
久々に走る中国道は、交通量こそ多いものの流れは悪くない。なかなか快適。

西宮名塩 SA をやり過ごし、神戸北 JCT を通過。山陽道分岐も無視し、直進。
中国道区間に入る。交通量は漸減するが、それまでの間に狩りを済ませるつもりか
中国道に入ってすぐ、パトカーが2回出現。だが、いずれも赤灯をつけっぱなしで
走行しており、これに気づかない奴は捕まって死刑でもやむなし、という感じ。
こういう取締りはそれなりに好感(?)が持てる。面白くないだろうけど。

タコメーターの針を 5000rpm MAX として、油圧計をちょこちょこ確認しつつ
走行を進める。少し油圧は低くなりがちだが、ヤバいというほどでもない。
中国道の遅めの流れをうまく利用しつつ、まずは北房 JCT を目指す。



・・・というわけで、特に大きなトピックもなく、無事に北房 JCT に到着。
何もない開けた山間の平野に、優美なRを描いて浮かび上がるシルエット。
複雑ながらも均整の取れた工業デザインに、心を奪われる。JCT は美しい。
そのエロス溢れる JCT の上を、カプチーノは指を滑らせるように走り抜ける。

岡山道は大半が二車線区間。中国道から分岐して数km も走ると、車線数は1つに
減少する。だが、ときおり追い越し区間は用意されているので、ストレスは特にない。
特に今回は、キンキン追い越さないといけない理由もないので、タンクローリーの
後をのろのろと追走し、吉備高原の上にある美しい楽園、高梁 SA に到着。



燦燦と降り注ぐ曇りなき陽光と美味な空気が出迎えてくれる。あぁ、やはり天国。
JIT 実現のためにガラガラと無駄にアイドリングするトラックもいないのが幸い。
思いっきり背を伸ばし、エンジン周りを軽く点検。問題ないことを確認したら、
時刻も時刻(12時半ごろ)だし、ここで昼飯を補給することにした。

食堂に入り、食券を買う。事前調査で、ここでは「ネギ焼きラーメン」という
美味なものが食えることが判っているのだが・・・メニューに見つからない。
はて、情報に間違いがあったのか?よく見ると「焼き味噌ラーメン」という
似たような別のメニューが見つかった。こちらも名産らしい。っていうか、
たぶんこっちが正しいのだろう。情報もたまには間違いがあるものだ。うむ。
5秒ほどの思索を経て、「焼き味噌ラーメン」を注文。さっそく食ってみる。



かなり濃く溶かれた味噌ベースのスープに、5mm ほどの長さに刻まれた青ネギ。
更に、モヤシとにんじんがどっさりと投入された中に麺が鎮座している。そんな、
郷土色豊かな(?)ラーメンである。見た目からして実にうまそうなのだが、
食ってみると本当にうまい。背油こってり醤油系の賑やかな京都ラーメンとは全く
違う方向性であり、そういう意味でも斬新(?)だ。無駄も隙もない、いい味。
あぁ、生きててよかった俺、とか思いつつ、噛み締めるようにラーメンを食う。

ラーメンを食ったら、土産ものを軽く調達してから店を出る。店先を流れるのは、
高原特有の爽やかな風。そして、幼い鳴き声の鳥。よく見れば、まだ巣を出たばかりと
思しきツバメが2匹、壁の上のほうにへばりついてこちらを見ている。巣立ちした
ばかりか。だが、早くも野生としての本能は目覚めたようで、こちらを見る目に
興味の色よりも警戒の色が目立つ。うん、それでいい、それでいいんだ。

他にももう1匹、別の鳴き声が聞こえる。そちらの方向に頭を向けると、これも
まだ羽の生え方がボサボサとした幼いスズメ。こちらのほうに向かって、何かを
アピールするかのようにピィピィ鳴いている。たぶんエサが欲しいのだと思うが、
手を伸ばしても近づいてこないぐらいには分別を備えているようだ。合格。

少し休憩したら、カプの元に戻ってエンジン始動。油圧はまた元に戻っている。
確実に油温連動って感じだなぁ。ガソリンの残量がかなり減ってきていたので、
ここでついでに給油。GS 守りのじいさんと雑談。ここ数日は結構風がきつかった
らしい。この SA は吉備高原の上のほう、つまり吹き曝し状態の場所にあるため
よっぽどすごかったのだろう。いずれにしても、いい日にここに来たもんだ。

燃料を満タンにしたら、出発。吉備高原から瀬戸内に向かって一様な下り勾配を
見せる岡山道をぬらりぬらりと駆け下りる。南区間はかなり改良工事が進んでいる
ようで、二車線区間が相当長くなっていた。そんなに交通量が多いのかしらん?



岡山道を下りきり、岡山総社を過ぎて JCT へ。ここで右の車線をキープすると、
そのまま西行きの山陽道へと連絡する。ここまでの区間と比べると、圧倒的に
トンネルが多いのが山陽道の特徴。また、オービスも現れる。用心用心。

慣らしを心がけ、一定回転まで上げることを意識しながらギューンっと走る。
この時点で、レブリミット 6000rpm制限の距離を走行し、次はレブリミット 7000。
この回転でも、3速を使えば速度は流れに合うが、さすがにエンジンのほうが
だんだんとキツくなってきたらしい。最初は 2.7kg/cm2を示していた油圧も、
7000rpm を維持して多少走ると、すぐに 2.5kg/cm2を割り込んでいく。発熱多し。
エンジンを壊すとシャレならんので、適当に休憩(5速 4000rpm 前後)を入れつつ
慣らしを進めていく。ただ、もはやエンジンが苦しげに回っている感触もないので
エンジンの慣らしとしては、大半が終わってしまったような感じがしなくもなく。

14時過ぎ、福山 SA に到着。この先で、しまなみ海道が分岐する。ここまでなら、
今までも走ったことがある。この先は完全に未知のルート、トワイライトゾーン。
ナビの画面で、この先のルートと SA/PA を確認する。広島 JCT で広島道に分岐する
までに存在する SA はあと僅か1つ。ここで広島お好み焼きが食えればベストだなぁ。



情報を集めるため、福山 SA の中に入って情報端末を探す。そこには、読書ばかり
している無口で無表情なショートカットの小娘がいる・・・わけはなく、ごく普通な形状の
情報端末が置かれていた。タッチパネルを指でまさぐり、SA/PA 情報を引き出す。

「――この先、広島お好み焼きが食える SA/PA は何処だ?」

「・・・」

(擬人化)情報端末は、読んでいた本から視線をこちらに移し、少し首を傾げる。
一呼吸置いて僅かに視線を逸らし、記憶を手繰っていたようだったが、
すぐに該当する物件に思い当たったようで、視線を戻して一言

「沼田PA」

とだけ答えた。

そうか、沼田 PA か。いくつかの PA を越えた先にある、小さな PA っぽい。
果たして、こんなところで本当に広島お好み焼きが食べられるのだろうか。

福山 SA で土産物を軽くチェックし、尾道ラーメンを購入。再び出発する。



特に目を引くような景色もなく、黙々と走り続けていると現れたのが沼田 PA。
15時半を過ぎ、憂鬱な重さの雨雲が空を覆い尽くしたころに到着。



有人 PA として規模は特に大きくない。小ぢんまりとした店舗が私を出迎える。
店舗の前には、お好み焼きが名物となっていることを示す橙色の看板が1枚。
その看板に目を釘付けにされながら、店舗に入る。入り口を入ってすぐ左手に
食堂がある。食券販売機を眺めると、下のほうに「お好み焼き」ボタンが並んで
私を待ち構えていた。少し考えるが、初心者はやはりベーシックなメニューを
選択しておくべきだという考えに行き着き、一番左端のボタンを押す。

ガチョン、と出た小さい食券を取り、夕刻前の気だるい雰囲気に満ちた店内へ。
広島カープの試合を流す壁際の TV の音を BGM に、作業着を着たおっさんが数名
疲れた表情でラーメンを啜っている。厨房にはおばちゃん2名。誰も会話しない。
まるで、喋らないことで唯一の安息を得られるかのように。その雰囲気を壊さぬ
よう、食券をカウンターに出して、おばちゃんに囁く。私にも安息を頂きたい。

だが、おばちゃんは食券に手を伸ばさない。ここは、陳腐な西部劇に出てくる
余所者に閉鎖的な町か。そのうち、住民が遠巻きに見守る中、渋面の老齢保安官が
出てきて「余所者は町の平和を乱す。帰ってくれ」と言われてしまうんだろうか。

だが当然ながらそんなワケはなく、おばちゃんは「ここじゃないよ」と口を開く。
どうやら、広島においては、お好み焼きは食物の頂点。別格の扱いを受けているらしく
店内の奥の方に作られた個別のカウンター(鉄板引き、椅子付き)にて提供される
ようだ。まさに食事の王、ロードofロード、貴様等が飢えても皇帝は飢えぬ!

専用カウンター前の素朴な椅子に腰掛け、しばし待つ。新たなおばちゃんが登場。
お好み焼き専用おばちゃんとでも呼んでおこう。お好み焼きを作らせたら3倍速。
このおばちゃんも多くを語らず、テーブルに置かれた食券をちらりとみるや否や
あらかじめ準備された生地を、鮮やかな手付きで、薄く鉄板に延ばしはじめた。
そして、こちらが瞬きを繰り返す間に、反撃する暇を与えずに暴徒を制圧する
SWAT のように、大量のキャベツとそばを次々と投入。お好み焼きの基本形を
形成してしまう。それを確認すると、満足したかのようにその場を去る3倍速。

数分ほどしてから、3倍速が帰ってきた。引き続き、立て続けに卵などを投入し
最後の仕上げにかかる。先ほどまで最後の力を振り絞って膨らんでいたキャベツも
今はすっかり飼い慣らされた熊のように小さくなり、お好み焼き戦線は最終局面を
迎えていた。スティーブン・セガールも真っ青の早業でお好み焼きをひっくり返し
ソースを投入する3倍速。香ばしい匂いの広がりとともに、戦闘は手早く終結。
男の料理のように大雑把な申の字状に切られたお好み焼きが、目の前に。

割り箸を取り、恐る恐る手前の欠片に手を伸ばす。ほっこり焼けたそばの両面を
薄く延ばされた生地が柔らかく包み込む。おたふくソースの甘い香りが鼻腔を刺激
する。誘われるがままに口に運ぶ・・・うーん、うまいねぇ!ごく簡単に言うと、
ソースたっぷりに焼いた焼きそばを生地で包んだ料理なわけなのだが、焼きそばが
実にンまぁい。薄い豚肉から出る適度な旨みと、もやしが齎す爽やかさ。さらに、
卵の濃厚さがしっとりした食感を与え、ラーメンの残った胃にも食欲を起こさせる。



けだるい場末の食堂風情と思った私が浅はかであった。広島、恐ろしい子!



満足を得たら、沼田 PA を出る。全行程のほぼ半分を完了し、あとは帰路の処理。
黙々と走るばかりの計画だが、まぁ体力は十分に残っており、不安は特にない。

沼田 PA を出ると、すぐに広島道との JCT が現れる。ここが折り返しポイント。
慌てず騒がずウインカーを出し、折り返しに入る。ここの JCT はおもしろい構造で、
支線となる広島道に分岐するための道路が、本線のアンダーパスとなっている。
しかもけっこうRがキツく、JCT というより、まるで IC のような錯覚を受ける。
一瞬「ルートを間違えたか?」と思ったが、本線をくぐったあとに現れた広い幅の
道路をみて一安心。やはり、慣れない区間を走るときはそれなりに緊張するね。

折り返しで入った広島道だが、いわゆる縦貫道であるため、それほど大きくない
道幅を想像していた。だが、どれだけ走っても、道幅が狭くなることがない。
中国道がそのまま伸びてきたかのような立派さだ・・・と思っていたのだが
その想像は現実通りのようで、「中国道」をそのまま伸ばすと「広島道」になる。
『広島道を走っていたと思っていたらいつのまにか中国道になっていた』@ポルナレフ

(このあたりの事情は、「東長崎機関」さんで詳細に解説されています。お勧めサイト)

それはさておき、山陽道から広島道に分岐した瞬間から、交通量は激減。
それまで抑え気味だったペースが、慣らしの終盤突入に合わせ、上がり始める。
これにより、それまでなんとか我慢できていたシミーの問題が深刻になってきた。
特に、高速に乗り始めたころはまだステアリングだけに発生していたシミーが、
いまやボディー全体を低周波で揺する大規模なシミーへと発展してきていた。
これにより、疲労感は段違いに上がる。タイヤ、交換してくればよかった・・・



何台かのクルマを追い抜いたあたりで、少しペースを落として走行。だが、これが
いい方向に働いた。左車線を優雅に走る、かなり古い白クラウンを発見。リアは
3面スモークで、別にどうっていうことはないように見えたのだが、トランクに
オレンジトップの自動車電話風無線アンテナが装備されているのを見て、理解。
これは、あまりにも判り易過ぎる。ペースを完全に落とす準備をしながら
追い抜きざまに運転席を確認。当然ながら、青い服を着た公務員が乗車中。

あらかじめ上げておいたウインカーに従うようにして左車線に入り、覆面の前を
覆面がずっと走ってきたペースにぴったり合わせて走行。それから徐々に、
ペースを落としていく。そのまましばらく走ると、先ほど追い抜いてきた数台の
クルマが現れては去っていく。そちらのほうが獲物として価値が高いと判断したか
覆面はほどなく私の後ろを離れ、ゆっくりと加速して前方の獲物を追っていく。
その姿が延々と続くカーブの先に見えなくなったら、こちらも加速して追い上げ。

しばらく走り続けると、赤灯を回して追い越し車線を走る覆面の姿が見え始めた。
単なる警戒で終わるのか、と思ったがそうではなく、先ほど私を追い越していった
黒い小型 RV を後ろに従えて IC を降りていく姿が見えた。赤灯を回した覆面の
リアウインドウには、「後ろに続け」という電光掲示の文字が。合掌・・・

っていうか、しかし、あれほど判りやすい典型的覆面なんてそうそう居ないと思うのだが・・・
あんなのに引っかかっる注意力の無さでで飛ばしてたら危ないよ!黒い RV の運転手!



ちょっとした捕物劇が行われたあと、それと関係があるのかどうかはわからないが
さらに交通量が減少し、前後を見渡す限り1台のクルマすらも存在しない状態が
20分ほど続く。道路の真ん中に停車して立小便しても大丈夫だろう、ってぐらい。
なんだか、高速道路というより、何かのテストコースでも走っているかのような
錯覚に陥る。その錯覚を強化するかのように、しばらくすると2台の黒い新型エス
ティマが連なって走行している姿が見えた。速度はかなり遅めだが、車間距離は
結構短い。まるで、自動追従走行実験でもやっているかのようだった。不思議。

その後ずっと、山間の無人区間を延々と走り続ける。そのうちようやく、新たな
動きがみえはじめた。道路看板に「60km/h制限区間」という表示が出てきたのだ。
60km/h制限?名阪国道かここは。そう思ったのもあながち間違いではなく、この先
中国山脈で標高の高い地域を抜けるため、Rの小さなカーブが連続するのだった。
次々に現れるRの表示を見ると、「350R」、「300R」、はたまた「250R」などの
数字が連続。過保護な中央道に反省させてやりたいぐらいの小さい値だ。だが、
これで注意しなければならないのは、大型車両や重心の高い車両。こちらとしては
別に直線とさして変わることなく、心地よいGを感じながら駆け抜けていく。

途中、燃料の残量が厳しくなってきたので、大佐 SA で給油。なんだかすごく
かっこいい名前だ。日本の全 SA で一番偉い名前なんじゃなかろうか。



険しい区間を過ぎると、北房 IC が現れる。ここは備北ハイランドのすぐ近く。
ここまで戻ってきたら、もう距離感としては「あとちょっとで自宅」という気分。
北房 JCT で本日2回目の岡山道に入り、そのまま駆け抜けて山陽道へと戻る。

山陽道に戻ると、路地から表通りに出てきたかのように、交通量が激増。
大量に走るトラックの間を抜けてすいすいと進み、瀬戸 PA でちょっと休憩。



岡山名物の土産を購入し、トイレを済ませる。また、助手席に座り TV を見ながら
売店でついでに購入したパンをモサモサとくって休憩。体力も回復したので、
いざ出発・・・というところで、思わぬ悲劇が私を襲う。

鍵を閉じこんでシマイマシタ。

またかよ、ブローした日に閉じ込みやっちゃってから2ヶ月で、またかよ orz

ついうっかり、ACC 状態にするためにキーを差し込んだ状態で、助手席のドアを
ロック状態で閉めてしまった。運転席側も当然ながらロックされていたし、それに
閉じこみ対策用のスペアキー(財布に入れておいた)も全部車内に置きっぱなし。
挙句の果てに、携帯電話までも車内に入れた状態で閉めてしまったので、本当に
知恵と勇気以外は何も持っていない状態で、カプチーノから一切を拒絶された。

むう。近くでエンジンをかけながら停車しているトラックのエンジン音が
からからからカラカラカラと嗤っている。途方に暮れたドライバーを嗤っている。



しかし、幸か不幸か、ここは PA だ。クルマをゆっくり止めておくこともできるし
近くに売店もある(GS は無いが)。売店の人にお願いして、JAF を呼んでもらおう。
解決方法がわかってしまえば、この問題も解決は容易だ。売店へと戻り、レジの
おねえちゃんに「すんません、JAF 呼んでください」と依頼。おねえちゃんは
困った様子で同僚のおねえちゃんを呼び、同僚のおねえちゃんは店長を呼ぶ。

店長は手馴れた様子で JAF を呼んでくれる・・・ことはなかったが、いいことを
教えてくれた。PA の端のほうにある非常電話から JAF を呼ぶことができるとか。
ほうほう。早速、身障者用駐車スペースの近くにある非常電話に向かい、ドアを
開けて受話器を取る。数秒ののち、NEXCO 西日本の職員が電話口に現れる。
早速、キーの閉じ込みを・・・と説明すると、これも手馴れた様子で「このまま
JAF にお繋ぎしますので、そのままお待ちください」と返答してくれた。
そうか、非常電話を使えば JAF の救援を呼べるのか。ちぃ、覚えた!

言葉の通り少し待つと JAF に繋がったので、救援してもらうために必要な情報を
事細かに説明。ただ、やはり休日の夕方であるためか、到着までには 50分ほど
かかるとのこと。そうか、50分か・・・うっかりやってしまった閉じ込みだが
それによってロスする時間は、事故を起こしたかのように大きい。

電話を切り、JAF の救援車両が到着するまでしばらく待つ。財布も携帯も
両方とも車内の見えるところに放置して閉じ込んだ状態にしてしまったため、
クルマを離れて売店で立ち読みでもして過ごすということもできない。
段々と日が沈んでいく駐車場の中で、カプの横に座ってぼーっと過ごす。

トラックは、あいかわらずからからからカラカラカラと嗤い続けている。
・・・閉じ込みやっちゃったことがそんなに可笑しいか、ちくしょうめ。



結局、50分は待たないにしても、30分ぐらいは待ったろうか。JAF の救援車両が
颯爽と現れた。前回は窓とドアの間から棒を差し込んでロックを解除してくれたが、
今回は鍵穴にピッキングツールを差し込んでロックを解除してくれるらしい。同じ
JAF といっても、地方(?)によって救援方法は様々のようだ。感心しつつ、
作業の様子を眺める。作業開始から開錠完了までの時間は、せいぜい 3分。
ちょっと目を離している隙に鍵が開いてしまった。さすが JAF、プロの腕前。
っていうか、クルマの鍵ってこの程度のセキュリティでしかないんだよな。
「見える場所に金目のものを置いてクルマを離れない」の意味を噛み締める。

作業を終えたら、伝票にサインして終了。JAF 会員のため、今回も請求なし。
なんかもう、数年分の年会費のモトは取ったような気がする(汗)



そんなことがあって出発が遅れ、瀬戸 PA を出たのは 19時半。だが、それによって
一番混雑している時間帯を外すことができたためか、道路の流れは順調そのもの。
暗くて安全確保ができないので、走行ペースは昼間と比べて圧倒的に落ちるが
それでも権現湖 PA 通過は 20時半。吹田 JCT で名神に戻って京滋 BP を抜け
帰宅したのはぴったり 22時。ほぼ 12時間で帰宅と相成る。計算どおり(?)



メモ:

乗せ換え後 1500km を走行し、エンジンの調子はすこぶる良い。500km までは
4000rpm/ブースト 0kPa、700km までは 5000rpm/ブースト 50kPa、900km までは
6000rpm/ブースト 50kPa、1100km までは 7000rpm/ブースト 50kPa、以後は
回転数縛り無し/ブースト縛りなしという慣らしスケジュールで実施したが、
アクセル全開で回転上昇に淀みのあるところは無いし、パワーもよく出ていて
いい感じに慣らしが進んだ。まだ若干、フルブースト時にビリビリした振動が
強く起きる問題があるものの、これも更に慣らしが進むと変化があるだろう。

油圧に関しては、5000rpm 以上を維持すると規定値を割り込むぐらいに下がるが、
4000rpm ぐらいでクーリング走行するとすぐに戻るので、特に問題ないと判断。


5/13

というわけで慣らしも終わったので、今日は E/G オイル交換。ジャッキで上げて
ウマを掛けてオイルを抜く。抜いたオイルはいい色になっていたが、鉄粉はほぼ
見当たらないレベルまで減少。初回交換時はメタリック状態だったんだけどな。
この分だと大丈夫かもしれないが、儀式(?)として、フィルターも交換。
新しいオイルは、SUMICO の GX100(5W-40)。ようやく、常用粘度に戻る。
これで、油圧がどういうふうに変化するのか。実に興味深い。

ついでに、ミッションオイルも交換。抜けてきたオイルは、やはり鉄粉が多い。
更に、ドレンの磁石には、幅 1mm×長さ 3mm ぐらいの、大き目の鉄片が数個付着。
細かいものも含めて見ると、鉄粉はかなり多い。やはり、6000km は粘りすぎか。
こちらには、いつものように MT-90 を投入。0.95L。もうちょい欲しいね。

オイル交換を終えたら、エンジンを始動。げっ、めっちゃくちゃ静か〜(笑)
がしゃがしゃしたメカニカルノイズはほとんど聞こえないし、排気音も静か。
ミッションオイルも交換した効果が出ているのだろう。なんか感動的。

エンジン付近を点検ついでに、点火時期を再調整。最近、信号などで停止してから
エンジンの回転がアイドリングに戻るまでの時間が妙に長くなった。2000rpm前後で
しばらく(30秒ぐらい?)回転を維持してから、諦めたように回転が落ちるのだ。
ISCV のホースをつまんでも現象は変わらず。ISCV が故障していたり、どこかから
二次エアを吸っている可能性は低い。点火時期を進めていたのが問題だったか?
と考え、点火時期を元の位置(BTDC 5°)に戻す。負圧は元通りに低くなる。

ジャッキアップしたついでに、各ボルトの緩みをチェック。リア右下側にある
サブフレーム固定ボルトの1本が少し緩んでいた。トルクレンチを片手に締めるが
なんかトルクかしっかり掛からず、ヌルついた雰囲気。まさか、ナメたかな・・・
一旦緩めて締めなおし、とりあえずトルクがかかる状態で締めこむ。だが、
こんなところにある細目の頑丈なボルト、なめようとしても簡単には(汗)

メンテが終わったら、最後に、虫落としの洗車。山岳地帯を中心に走ったため
フロント周りはモーレツな数の虫が付着している。流水でざぶざぶ洗い落とす。



つづいて、財布を片手にコンビニへ向かい、軽自動車税を払いこむ。\7.2k。
今年度から軽自動車税はコンビニから払い込めるようになったので、休日だろうが
夜間だろうが払い込むことができ、めちゃくちゃ便利になった。税務署えらい。

その足で高速に乗り、いつものコースを軽く一周して油圧などを確認する。
だが、期待にもかかわらず、油圧は規定値どおりにあがらない。巡航速度がかなり
遅ければきっちりと規定値の油圧になる(これは -30 と比べても良くなった)が
巡航速度を上げると、いとも簡単に 270kPa/4000rpm という値を割り込む。
まぁ、エンジンの調子がおかしいわけでもないから、こんなモンだと思うべきか。

なお、負荷が高いときの油圧の下がり幅だが、昨日まで入れていた 0W-40 よりも
大きいと感じる。0W-40 は最初から圧が低め(※ -30 とのチャンポンという問題も
あるわけだが)だが、負荷が高いときの下がり方はいくらか緩めだ。これは、
純粋にオイルの特性というか性能というか、それが違うためだろうか。





走行を終え、帰宅。車庫にクルマを収め、空冷ファンが止まるまで少し待つ。
各部の音に耳を立てる。エンジンはそうでもないが、ミッションからの歯打ち音は
やっぱりカチャカチャとうるさい。オイル変えてもほとんど変わらないってことは
またもや痛みが進んできたっちゅうことかな。予備のミッション直しとかねば。

点火時期を戻したことによる、ドライバビリティの悪化は無し。回転落ち問題は
直ったような感じもする。そんな微妙なモンなのかなぁ。まぁ、要継続観察。

また、タイヤのシミーがあまりにもひどい(先日も感じたように、ハンドルが
ガタガタするどころか、車体がふらフラする)ので、タイヤ交換を決意する。
いつものように KWC に見積もりを聞くと、Vimode で \36k。今までの記録を
見ると \30k 程度だったから、一気に \6k も値上がりしている。ただ、別に
KWC がボッタしているわけではなく、通販を見てみるとタイヤ自体の値段が
上がってきているようだ。次はアジア系タイヤに手を伸ばしてみるか?

発注後、最終点検。右後ろショックのケースをダブルナットで固定するための
リングナットが緩んでいた。リアセクションが頼りないような気がしていた
原因はコレだろうか?CRC5-56 を吹いて、しっかりと締めなおす。

余談:エンジンを切った状態でも、ヘッドライトが点灯する。これまでは
エンジンを停止していると、電圧が低いために点灯制御回路が正常に作動しない
というのが普通だったのだが・・・気温が上がって、バッテリーの電圧が
上がってきた証拠だろうか。バッテリーが元気なのは喜ばしい。


5/14

慣らし期間は DENSO IRIDIUM TOUGH VXU24(NGK 8番相当)に変更していた
点火プラグだが、そろそろ NGK 9番相当に戻そうかと考える。以前装着していた
GTi SPARK はブローを経験して碍子が痛んでいる可能性が高いので再利用せず、
新しく #9 のプラグを調達することにした。わずかな投資が安心を生む。

GTi SPARK でもなんでもいいのだが、まともに買うと高いので、安い店を探す。
結果、またも楽天市場の RS KONG が候補に挙がる。NGK IRIMAC #9 が \1.2k/本。
送料を含めても、3本で送料込み \4k ちょい。これは安いなぁ。即購入。


5/16

あっさりと IRIMAC が到着。封をあけて検品。ギャップは 0.6mm ぐらいで、
GTi SPARK とほぼ同じだった。DENSO の IRIDIUM POWER/IRIDIUM TOUGH と比べると
中心電極が太く、ギャップが狭い。つまり、電極に火種の熱を奪われる量が多い
構造になっている。それでも性能は同じようなものなのか?不思議。

思うに、低負荷走行中心なら DENSO、高負荷走行中心なら NGK のほうが良さげ?


5/17

ふと思い立ち、故障のために交換した純正温度センサのガワだけを再利用しようと
考え、リアエンドにカシメてあるプラ部分をプライヤーで引っ張って外してみる。

どんな構造かと思うまもなく、中からなにやらビヨーンとしたものが飛び出す。
何だこれは?と思って引っ張り出す。それは、太い線材でしっかり巻かれた、
頑丈なバネだった。それを取り出して中を覗き込むと、ピップエレキバンを
メッキしたような、小さなペレットが見える。ドライバーを突っ込み、コジって外す。



中の構造は、サーミスタのペレットをバネで押し付けているだけの構造。ほほう。
確かに、振動や熱膨張に対して強そうな構造だが、バネのプリロードが低いため
カシメが緩むと簡単に接触不良になるっていう理屈はわからんでもない。うむ。

なんにしても、ちょっとした部品でも意外に手間がかかっているってこった。


5/19

予定通り、プラグ交換。念の為、シックネスゲージでギャップを測定しておく。
外した DENSO VXU24 は 0.8〜0.9mm、装着した IRIMAC #9 は 0.6mm。以前に
測定した結果とまったく同じ。やっぱり、NGK のほうがギャップが狭い。この差が
どう出るか、って、体感できる差ではないだろうけど。なお、外したプラグの碍子は
僅かな赤燐色の混じった白色に焼け、陰極座面には薄くカーボンが乗ったままに
なっていた。燃焼状態については、正常なことこの上ないようだ。安心する。
3本とも規定トルク(2.5kgf/cm2)でプラグを締め、作業を完了する。

E/G ルーム内を点検。インタークーラーに繋がるホースのうち、タービン側の
ホースの表面の細かな罅割れがかなり増えていた。インマニ側のホースといえば
古びてはいるものの、目に見える割れは発生していなかった。やっぱり、高熱の
圧縮空気が通過するのがタービン側だからってことだろう。熱の影響、恐るべし。
そして、前置きインタークーラーによる吸気の冷却効果も、恐るべし。

というわけで、消耗品注文リストの中にタービン側ホースも追加しようと思ったが
値段を調べると、1本 \2.6k。ついでにインマニ側も調べると、こちらは \2.2k。
2本あわせて \5k ぐらいか。存外高価に付くことに気づく。速攻で裂けるほど
弱いホースでもないし、社外品のアルミパイプの在庫もあるから、後回し。



作業が終わったので、エンジンを始動し、タイヤ交換のため KWC へ向かう。
観光シーズンもひと段落ついた感じがあり、通過点となる岡崎近辺は渋滞なし。
岡崎からショートカットで白川通に入り、宝ヶ池まで北上。少し天候は悪いようで
フロントガラスに水滴が付着するが、これぐらいの天気のほうが涼しくていい。

KWC に到着。先客がいたようで、リフトにはエスティマがどてんと鎮座していた。
その横にカプを止め、タイヤ交換を依頼。若い店員が飛び出し、フロアジャッキを
引っ張りだしてきてタイヤ取り外しを始めようとする店員さん。手際は良い。

だが、最低地上高が 9cm ぎりぎりのカプだと、KWC に用意してある低床車対応の
ジャッキでも、奥深いところに存在するカプのフロントジャッキポイントには、うまく
アクセスできないようだ。また、TRUST MX のタイコのすぐ裏側のリアジャッキ
ポイントも、よく見えないためかわからないらしい。業を煮やした若い店員は
「リアのジャッキポイントはデフでいいですか」なんて聞いてきた。たわけ、
アルミ鋳物のデフにジャッキをかける阿呆があるか!
「それはやめて」と
やんわり否定するが、専門家ならもうちょっと勉強しておいて欲しいもんだ。

そんなやり取りを見ていたのか、チーフエンジニアらしきいつもの店員さんが
出てきて、若店員に「カプは低いからリフトに入れたほうがいいよ」とアドバイス。
とりあえず、リフトが空くまでしばらく店内で待つことにした。時間が余ったので
タイヤカタログを一瞥。特に面白い情報は見当たらない。A050 は未掲載か。

何もすることがない数十分を過ごす。先ほどまで、発破音のように時折響いていた
ビート落としの音が一旦止む。どうやら、先客の作業が終わったらしい。リフトを
見ると、まさにカプが入ってきて停車し、タイヤを外されようとしているところ。
普通にクロスレンチを使ってタイヤを外している店員。それは正しい姿だね。
(インパクトを使うとナットが痛むので、客によってはクレーム入れるかも)

それから 20分もかからずに、タイヤ交換完了。いつもは聞いてくるはずの空気圧を
何も聞いてこなかったのでどうしたのかと思っていると、交換作業後の支払い時に
「2.1kg にあわせておきました」とひとこと説明。あぁそうですか。それは 175/60R14
サイズを標準的な重さのクルマに履かせたときの値であって、コーションシールを
見ても判るように、カプの指定は 1.6kg なんだよね。かつ、私の常用空気圧は
1.8kg なんだよね。サービスが良くなったのか、悪くなったのか。微妙だな。



ともあれ、これでタイヤ交換は完了。トレッド面の溝も復活し、こころおきなく
遠出ができるようになったことは大変に喜ばしい。意気揚々と店を出る。

で、普段ならば、店から公道に出た瞬間に「うわ、ハンドルが軽い!」などと
新しいタイヤの恩恵をぐっと感じるところなのだが、今回ばかりは、なぜだか
大した感触違いを感じない。前のタイヤの劣化は、純粋に「バランス崩れ」だけ
でしかなかったのか、それとも私の感性がおかしくなってしまったのか。

首をひねりながら西に向かい、国際会議場の脇の道を通過中、予想GUY にも
発信元が「上司」となっている電話がケータイにかかってくる。鳩尾のあたりに
重く冷たい塊が下がってくるのを感じつつ電話に出ると、中国の会社から急用の
連絡が入ったので、すぐに出勤してくれ、とのこと。えっと、えっと・・・

今からスズキに寄ってから帰るから・・・2時間後にこちらから連絡する旨を
先方に伝言しておいてくださいな、とだけ伝えて電話を切る。また休日が飛んだ。



タイヤから受ける感触は絶頂に軽いが、しかし心の中は最悪に重い状態のまま
狐坂を下り、さらに堀川を南下して御池経由で葛野大路を通り、スズキへ向かう。
そこで、作成しておいた部品リストを片手に、手配を依頼。ちょうどいつもの
メカさんが応対してくれたので、エンジン積み替え時にやってくれた作業ミスを
軽く指摘しておく。クレーム入れる気は毛頭ない。他の人の車両で同じミスを
しないための情報提供。普通の客相手にあのミスしてたら重大クレームになるし。

スズキを出たら、あとは一目散に自宅へ。会社に入るためのパスとかばんを掴んで
またすぐに自宅を出て、いつも使っている時間貸しガレージへ。せわしない行程で
あるものの、今のカプの「ブースト立ち上がり遅いけど低速トルクは結構あるよ」
という妙な仕様に助けられ、なんとなくマターリした雰囲気での出社となる。
こういう感覚のクルマであることは、それなりに望ましい状態だったりする。
カリカリの競技車とかチューニング車とかもいいけど、癒される車ってのも。



その後、会社で数時間ほど足止めを食らったものの、なんとか適当な時間に完了。
バカ高い駐車場代を払って駐車場を出発したら、もともと予定していた映画鑑賞を
実施するため、京都市をずっと南方面へと走る。途中にある DIY センターで、
時間調整を兼ねて工具売り場を軽く冷やかす。前から欲しいと思っていた 8φ用の
タップホルダーが売っていたが、950円もするのを見て、一瞬で購入を諦める。
たかがタップホルダーのクセに、なんでそんなに高いのか。せめて半額で。

時間調整を終えたら DIY センターを出発し、油小路を南下して巨椋まで一直線。
京滋 B.P. 脇に浮かぶ AEON に突入し、レイトショーになっていた映画を見る。
『君のためなら死ねる』、じゃなくて、『俺は、君のためにこそ死にに行く』。

なんかこういう映画ばっかり見に行ってるような気がするが、まさにそのとおりで
数年前に行った鹿屋の自衛隊基地で見た写真が浮かび、またもや涙腺ボロボロに
なる。色々と考えさせられることの多い映画であった、とだけ言っておこう。



23時過ぎに映画が終わる。あとは自宅に帰るだけだ。久御山を出発し、第二京阪の
側道から外環経由で向島→醍醐へと抜け、帰宅する。信号ストップがほとんどない
ためか、帰宅までにかかった時間は 30分。京都高速の出番は無いに等しい。

なお、例の「アイドリング時に回転数が高止まりする問題」は、全く再現せず。
やっぱり、点火時期を 2°でも進めた影響だったのか。 BTDC 5°は必須なのか。
低速トルクはさておき、ブーストの立ち上がりの遅さはシャレにならん状態なので
点火時期を調整したいのだけど・・・壊れる可能性を考えたら我慢すべきなのか。


5/20

昼過ぎに起床。休日の半分以上が吹き飛んだ。

何をやるかといえば、かねてからの宿題であった、ブレーキ系統の軽整備。
前回の整備からずいぶんと放置プレイ状態が続いており、そろそろ全体的に
点検を兼ねた整備をしておかないといけない時期だな、と思っていたため。

などと書くとむづかしいことをやりそうに見えるが、別にたいしたことはなく
単に、一通りバラして清掃して測定して点検してグリスアップして、という
何の変哲もない作業。だが、好調な状態を維持するためには必要な作業。
いつものように、FM ラジオから流れる DJ の声を BGM に、黙々と実施。

いや、地味だし、同じことの繰り返しなんだけど、これがとても楽しいのよ。
なんでかわかんないけど、すごく楽しい。とても言葉ではあらわせないような、
たとえば走っているとどんどん脳内麻薬が出てくるような、そんな感覚(?)



というわけで、作業開始。まずはフロントから。タイヤを外してキャリパーの
ボルトを緩め、パッドを取り外す。摩擦面の見た目は少しカスカスな感じだが、
TypeZR は最初っからカスカスな見た目(舗装したてのアスファルトみたい)なので
別段おかしい状態ではない。軽く真鍮ブラシで清掃してから、残厚を計測。

今までの常だと、だいたい外周側か飛び込み側か、どちらかが早く減るという
偏磨耗気味の様相を見せるはずだった。だが、外したパッドをノギスで計測すると
恐ろしいほどに均一に減っていた。どの場所で測っても、摩擦材は同じ厚さ。
しかも、減ってたと言っても、摩擦材の残厚は 9.0mm。1.0mm しか減ってない。
当然のように、厚さ方向のクラックや剥離なんてものとはまったく無縁な状態。
プロμのときは直ぐにボロボロになったのに・・・やはり LOCKHEED の貫禄か。

綺麗に清掃したパッドと摺動部それぞれを再グリスアップし、組み立て直す。
組み立て終わったら、エア抜きを兼ねたブレーキフルード交換を実施する。
相方は居ないので、使用するのはワンマンブリーダー。ただ、これを使ったときに
発生しやすい微妙なエア吸いを避けるため、工夫をする。ペダルを踏み込んだあと
ブリードバルブを締めるまでの間、シート手前に板を置き、ブレーキペダルとの間に
ジャッキのハンドルを挟んで、ブレーキペダルを踏んだ状態にさせておくというもの。
ブレーキを踏んだ状態で適当な棒を入れて突っ張らせておけば、ペダルを戻した
時に発生するエア吸いを防止できるという寸法。この方法は極めて単純ながら
一度たりとも失敗(=フカフカ感が残る)したことがない。簡単確実な方法。
この用途にぴったりな突っかい棒が、安売りフロアジャッキのハンドル。

こんな感じで、原始的な作業を繰り返し、ともかくフロント側の作業は完了する。
つづいてリア側。こちらのほうも同様に、とりあえず分解して清掃し、摺動部に
グリスを塗っていく。もちろん、サイドブレーキのピボット部も、ある程度まで
分解し、バネを清掃してオイルを注し、グリースアップしてリフレッシュする。
このへんのメンテをちゃんとしているお陰か、ブレーキの引き摺り問題は皆無。

パッドを外した時点で、リアのパッドも残厚測定。リアのほうはメタルパッドで、
接触面積も小さくできているものだから、きっと残量も結構減っているに違いない
などと思っていたのだが、甘かった。メタルパッドをなめていた。どこの部分の
厚さを測っても、ぴったり 7.0mm。初期の厚さから微々たりとも減っていない。
いくらジムカーナを全然やっていないとはいえ、この減らなさはあんまりだ。
当然ながら、クラックも剥離もなんにもない。あまりのノートラブルさに驚き。
あれだけ効くのに、この減らなさの秘密は・・・ま、まさか、ローター側?(汗)

リア側の分解清掃も終えたので、フロントと同様にエア抜きを実施する。
結局、フロントとリア合計で 250mL ほどを抜き取り、系統内のフルードはほぼ
新しいものに交換できた、といった状態になった。リザーバ内の液の色も、
心なしか、薄く新鮮になったように見える。琥珀色からビイル色へ。

エア抜き完了後、タイヤ装着・・・の前に、またもや右リアのショックの
ブラケットを固定するリングナットが緩んでいるのを発見。こりゃもうアレだ、
回ってるとかそんなんじゃなくて、緩み癖がついたとした言いようがない。
リングナットだけ売ってればいいんだけど、そんなの見たことないしなあ。
とりあえず締めなおしておくが、何ヶ月緩まずに持つものだろうか。心配。

四輪ともタイヤを装着し、ジャッキダウン。最後にタイヤの空気圧のチェックを
やっておく。手持ちの AMON ゲージで測ると、四輪ともほぼ 220kPa。バラツキが
極端に少ないところはさすが本職のタイヤ屋、という感じだが、絶対圧のほうが
タイヤ屋のゲージと 10kPa も違うのが気になる。そろそろ誤差が出てきたか?
とりあえず、ウチのゲージで 180kPa(冷間)まで減圧しておく。



夕方になり、秋月に発注をかけていた電子部品がまとめて到着したので、
さっそく、積年の課題としていたメーターパネルの照明改造に着手。電球照明を
アンバーLED 照明に変更する。照明の色がより橙色になる以上の深い意味は無い。

ついでにメータークラスタ前の構造物を整理。ガムテープで貼り付けていた
デジタル速度計を、2mm のネジを使ってしっかり固定。適当なセルロイドを曲げて
カバーもつくり、見栄えをそれなりに整える。それなりに格好良くしておこう。

その後、ブースト計と排気温度計の中を分解し、内蔵されていた電球を取り外して
3mm のアンバー色 LED に交換。1電球あたり LEDを2つ使うことにし、合計4つの
LED が直列になるよう、基板のパターンを適当にカットして配線。固定はエポキシ
接着剤を使い、可能なかぎり頑丈、かつ照明のムラが出ないような構造とする。

この状態で元の位置に戻し、電源を入れる。白さの混じった電球色の光が、
トンネル内のナトリウムランプのような濃い橙色に変化。おとなしいデザインの
大森メーターが、急にシブさを増す。おぉ、かっこいい。やっぱ、スポーツカーの
インパネはアンバー色で決まりでっせ。航空機だってみんなアンバー(の筈)。

ただ、全体的には色の純度が増して成功っぽい雰囲気のある LED 化なのだが、
予想外の問題が発生。先ほど「トンネル内のナトリウムランプのような・・・」と
比喩したが、比喩というほど遠いものでもない。LED の橙色も、光のスペクトル
については「緑」+「赤」ではなく、「橙」らしい。つまり、計器のレッドゾーン
として赤く塗ってある部分の目盛りが、赤色に光らないことが判明。
それどころか、スペクトルが弱い領域のようで、薄灰色のようにしか光らない。
さらに言えばメーターの針も赤色なので、針もまた見づらいという問題が。
うーん、これは相当に予想GUY であった。どうしたもんか。知恵を絞らねば。



余談ながら、機械式ブースト計を分解したついでに、軸受けの部分に少しだけ
機械油を注してやったところ、アイドリング時に指針がブレるようになった。
なんてこった。軸受け部の摩擦抵抗を使ってダンピングをしていたというのか。
なんたる最適化設定!愕然とする。・・・まぁ、いいか。とりあえず放置。


5/21

追加メーターの処理が終わったので、いよいよメインのメータークラスタの改造。
15分ぐらいでインパネからメータークラスタを分離し、家の中に持って入る。

メインのメータークラスタを分解しながら、LED の数がどれぐらい必要なのか
考える。純正状態だと、ウェッジ球が4箇所に入るようになっている。これを、
たとえば秋月で買った 7000mcd の橙色 LED に置き換えてみる・・・うう、暗い。
単独で見ると目がムスカのようになりそうな高輝度 LED だが、散光性が低いのか
何なのか、メータークラスターの電球穴の中に入れると明かりが全然広がらない。
何の変哲も無い普通の電球にも勝てないのか。エジソンの偉大さを思い知る。

というわけで、この問題は火力が違いすぎるからだと結論。LED 1発でダメなら
山のように本数を束ねるまでよ。ということで、 LED を何本か放り込んで実験。
結論としては、タコメーターの面積を万遍なく照らすには、最低でも 8個の LED が
必要である、と判明。で、購入した LED は 30本以上。LED の貯蔵は十分だ。


5/22

おそろしく疲労が溜まって、歩いているのか、歩いている夢をみているのか
判然としなくなってきた。危機感を覚える。いつもより1時間だけ早く帰宅。

そして気づくと、LED を半分だけ埋め込んだメータークラスターの前に座って
作業を続けている自分が居た。壊れそうな精神を安定させてくれる唯一の作業。
いわば、写経みたいな感じだよな。LED を切って張ってメーターを組み立てて、
そんな作業を、ただひたすら気分が落ち着くまで、遅くまで延々と繰り返す。

で、延々と作業をしている、と書いているわけだが、実際たった 24個の LED を
メータークラスター内部に埋め込むだけの作業。なんでそんなにかかるのかというと、
ムラが出ないようにするためには、かなりの工夫と試行錯誤が要求されるためだ。

もともと、4本の電球でムラ無くメーターを照らすために、メーター裏側には
グラデトーンみたいな印刷が施された透明な導光板が装着されている。これが、
巧みに邪魔をしてくれる。LED を複数個使って万遍なく照らすこと自体はできても
「グラデ印刷に合わせてムラを作る」ことは相当難しい。LED の配置調整だけでは
うまくいかないので、頭に紙テープを貼り付けて輝度調整を行ったりもする。
また、電球は照射角度が広すぎるためか、遮光物なんかがあったりしたので
リューターに切断用丸ノコを装着して、切断加工したりもする。もう戻れない。

そんな感じで、タコメータを照らす 8個の LED を埋め込み、我慢できるレベルで
ムラを押さえ込んだところで本日の作業は終了。めちゃくちゃ時間がかかる。。。

残作業をざっと見積もる。メータークラスタ内部の構造などを考えても、だいたい
水温計に LED 2つ、燃料計にも LED 2つは必要っぽい。これで 12個。さらに、
速度メータ部分は、トリップ&オド表示を実現するため、内部構造物が複雑なので
8個だと足りなさそう。横から照らしたりしないといけなさそうだから、10個ぐらい
必要だろう。これで、合計 22個。まぁ、それでも当初見積もりは越えないか。


5/26

そんな感じで、帰宅後の僅かな時間を利用してチマチマと作ってきた LED 照明が
とりあえず完成っぽい。ホットボンドでしっかりと LED を固定し、振動対策もOK。
結局、ムラは完全にとりきれなかった。特に速度計周りは、障害物が多すぎて
相当にむづかしい。不要な障害物を可能なかぎり切断加工したりしたものの
特に 120km/h 付近については、薄暗さを完全に解消することはできなかった。

ともあれ、後は電源関係の配線を仕上げるだけだ。14V で 40mA 程度が流れるように、
抵抗器での電流制限回路をくっつける。LED の構成は4本1セットで直列にしたので、
順方向降下電圧は 10V 弱。だから、12V まで低下すると、かなり電流が少なくなる。
人間の感覚は対数的なので、電流が半減したからって輝度も半減したように見える
わけじゃないが、元々がそんなに明るくない(電球と比べて)ので、できるだけ
定格値に近い電流でドライブしてやりたいというのが人情だというもの(?)

そんなことを考えつつ、エアブローしながらメーターを元通りに組み立て、完成。
その状態で 13V 程度をかけてみるが、思った以上に暗い。電流が定格まで全然足りない
ってのが、やっぱ一番の原因だろう。結局、15mA の CRD を 30個発注。高くついた。



バックライトにムラの残るメータークラスターを不満げに眺めつつ、スズキへ。
注文していた部品を回収する。だが、発注に不手際があり、まだ全部届いていない
らしい。届いている部品を回収し、代金だけ先に全額支払っておく。残った部品の
回収は、また来週ということにする。急いだって、どうせ作業する時間がねぇや。

なお、スズキへの往復時に気づいたことの1つ目だが、少し涼しかった数日前と
比べて、今日は考えられないぐらいにクソ暑い。暑さに弱い身としてはエアコンに
体調維持を頼むしかないわけだが、ブーストの立ち上がりがノロくさいことが災いし、
コンプレッサーへのパワーの食われ方が物凄く体感できる。ドライバビリティが
落ちまくり。夏が来たなぁ、と痛感。早いとこ有効な対策を打ちたいと考える。

また、気づいたことの2つ目だが、助手席側の後ろのほうで、なにやらチャッチャッと
金属製の部品が踊っているような音が聞こえる。停車中など、回転数が落ちているとき
特にチャッチャッ音が大きく聞こえてくるのが非常に腹立たしい。ちゃっちゃっちゃっ
ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっ。

人間の感覚というのはよくできたもので、定常的に聞こえ続ける音は、自動的に
意識の中でマスクをかけてしまうようにできている。だが、それも限界があり、
高い周波数域での不定期ノイズといっても差し支えない、このような音には
マスキング機能にとっては仕様外らしい。ものすごーく耳障りでイライラ。



部品を一式抱え込んで帰宅した後、まずはリア周りで鳴り響くうっとうしい音を
退治するため、座席後部の物置付近を分解して徹底的に点検。暴れているネジとか
ワッシャはないようなので、後ろの空間を自由自在に走るワイヤー類をできるだけ
配線固定用金具などを駆使して固定する。こうしていけば、いつか直るだろう。

その後、購入した純正マニに、排気温度センサーのニップルを付ける加工を施す。
マニの肉厚を確認しつつ、穴をあける位置を慎重に選んで、8φのドリルで穴開け。
耐熱合金だから材質も硬いに相違ないと思っていたのだが、実際は全然柔らかく
軟鉄を加工しているのと同じぐらいの早さで加工を完了。穴が開いたら、1/8PT の
タップを慎重な手つきで立てるが、今回に限って作業ミス。少し斜めになってしまう。
エンジン後方に向かって、穴が僅かに傾斜した。しかし、これは不幸中の幸いで
ブローオフバルブに向かって走るゴム配管避けには、ちょうどいい傾きだった。
センサーの先は、少し内壁に寄り気味な位置に出た。計測誤差になるかもな。

穴あけ加工後、各ポートの面取りと拡大をしようと思ったが、最初からそれなりに
面取りの機械加工が施されていた。ほほう。わざわざ面取りしているってことは、
ここを削るのはメーカーとしても効果があると認めているってこったな、たぶん。
この状態から追加工しても効果は薄いと判断。内面を軽く砂落としするに止める。

さて・・・時間ができたら、割れた純正マニの交換もやりたいな。課題山積。



夜になったので、気分転換(?)に、いつもの週回路を走る。だが、今週末は
集中工事期間中で一車線に規制されているため、その区間はずっと渋滞状態。
まるで盆や正月の大渋滞シーズンが再現されたかと思うような勢いの徐行が続く。
・・・そうなると、途端に襲ってくるのが眠気。あくびが止まらない。うあ。

意識が飛んでしまうかと思うほどヤバい状態をなんとか抜けると同時に、クルマは
渋滞区間を抜ける。スピードが上がっていくとともに、眠気も飛んでいく。走って
さえいれば、人間のほうはすこぶる快調だ。それを助けるかのように、ステアや
車体には、嫌な振動1つ発生しない。速度感がおかしくなるんじゃないかと
思えるぐらい。すっげー快適。やっぱり、タイヤ交換をケチってはいけないね。

アクセル全開時の様子を確認。4速でアクセルを全開にした時の加速感が、少し
悪い感じがする。ブーストはいつもの値まで立ち上がっているし、クラッチが
滑っている感じも無いんだけど。なんでだろう。気温が高くなってきたから?

それと比べると、メンテしたばかりのブレーキの調子は実に絶妙。エアが抜けて
すっきりした踏み心地になっていた。うむ。やっぱり、定期的なメンテは必須。



いつもの P.A. までたどり着いたところで、コーヒーを飲んで一休み。その後、
ぐるりと回って逆ルートを戻る。特にトラブルもなく逆ルートを周り、まもなく
降りる I.C. が近づいたところで、アクセルを緩めてトラックの後ろに入る。
減速すると同時に、後ろにいた軽トラが追い上げてきて、バックミラーの中に
大きく姿が映る。煌々と照らされたバックミラーからの光が鬱陶しい。くそう、
ロービームにしてくれよ、ったく。前のクルマへの迷惑を考えろって・・・

なんてことを思いながら、バックミラーのレバーをなんとなく元に戻すと、
リアウインドウに見える軽トラの姿が霧に包まれていることに気づく。



ま・・・まさか?(涙)



その瞬間、「またブロー」という悪寒が頭の中を埋め尽くす。ま、まさか、そんな
はずは、だって今回はそこまでアクセル踏み切ってない、でもこの景色は確かに・・・

ドライバビリティの落ちた感じのしないクルマの動きに対して懐疑心を抱きつつ、
こんな程度でブローしたりはしないはずだ、という根拠のない救済が欲しくて
少し先に進んだところにある停車帯に一旦停車。ドアを開けて後ろを見る。

だがそこには、きれいに澄み切った空間が広がっているだけであった。

はて?



何がおかしいのか判らず、とりあえず運転席に戻ってミラーで後ろを見る。
やっぱり曇って・・・ま、待てよ!?窓を開けて、ミラーを雑巾で拭く。そして
リアウインドウも同じように拭く。その途端、あらゆる問題が解消した。
曇りひとつないクリアな空間が、ミラー越しに見えるようになった。

つまり、単に、窓とミラーが曇っていただけだったってことだったのだが
そんなことすら冷静に判断できず、ブローだと短絡して考えてしまった自分が
なんだかとても悲しい。これから後、何があってもこの判断ロジックは消えない。



帰宅。例のチャコチャコ音だが、残念ながらまだ解消せず、聞こえてきていた。
可能な限り、ワイヤー類は固定したつもりだったのだが。まだ残っているのか?

ついでに(?)ブースト計への分岐の三叉に、オリフィスを噛ませておく。


5/27

今日もまた、ひどく暑い・・・

とりあえず、買い物に出かける。暖気を終えて、ノロノロと車庫を出発。
エアコンを ON にして、じりじりと体力を奪う熱気から、弱った体を守る。
代償として奪われるのは、ドライバビリティとパワー。あぁ、夏だなぁ、嫌だ。

パワーが出ないだけでなく、夏は基本的に嫌な季節だ。自動車運転教習所から
沸いてくるのか、無謀運転を繰り返す小型バイクが増えるからだ。ウインカーを
完全に無視して、左折前の車両の左側を高速に走り抜けるバイク、クルマの死角
(左斜め後ろ、右斜め後ろ)を平然と走行しつづけるバイク、渋滞路で車線変更を
繰り返して隙間を抜けていくバイク、中央線の無い道路で反対車線(?)を平気で
爆走するバイク・・・無論、バイクだけがマナー悪いわけじゃないんだけど、
チョコマカと動き回れる特性を持つだけに、絡む率が結構高いようだ。
いつも以上にチェック・シックスを重点的に実施し、安全を確保する。



いつものホームセンターに到着。水温センサーを改造するために必要な、OD 6mm
ID 5mm の金属製パイプを購入。使える道具の都合があり、真鍮製が欲しかったのだが
近所の店にはアルミ製パイプしかない。仕方がないので、もっと遠くの店へと向かう。
そこでは真鍮製と銅製が売られていたのだが、これが 1m で 560円。さっきの店で
売っていたアルミ製は、1m で 190円。なんなんだ、この値段の差は!ショック。
衝動的にアルミ製と真鍮製の両方を購入(意味なし)。銅ってこんなに高かった?

ついでに、どうも紛失してしまったらしい弱電用ニッパーと、夏の季節には必須な
エアコン洗浄液を購入する。ニッパーも洗浄液も単価は 300円。納得いかねぇ。

帰路、例の異音が収まっていないことに気づく。発生源はどこなんだろう。外側?
リアセクションだから・・・たとえば、サイドブレーキワイヤーあたりとか。ともかく
車内に見えるワイヤーは徹底的に固定したけど、音が消えなかったのは現実だ。



帰宅後、なんとなく部屋掃除。長らく手を触れていなかった部屋隅の箱の集まりに
挑み、開封。中から、高校生時代に購入した ICF-SW77 が出てきた。懐かしい。
なんとなく心が動き、虫干しついでに電源 ON。プリセットしておいた周波数を
いくつか選んでみる。だが、JJY をはじめとして、殆どの放送が受信できない。
故障したのかと思ったがそうではなく、放送の周波数が変わったり、閉局してたり
していることが、インターネットによる調査で判明。そりゃそうか、もう15年は
経ってるわけだしな・・・仕方がない。なんとなく寂しくなってしまったので、
周波数を 7MHz 帯に変更し、SWL。SSB 変調独特の劣化感を懐かしむ。


5/30

メインで抱えている仕事が超ヤバい状態にも関わらず、別の仕事を立ち上げるため
中国出張。今回は、いつもの上海に加え、少し離れた南京にまで足を伸ばす予定。
そんなところに行ってる時間なんてネェと思いつつも、拒否できない立場が嫌。

最初は超絶に緊張した中国出張だが、これで4〜5回目ぐらいになるだろうか。
さすがに、手順などについては悩むところもなくなってきて、少しは気が楽だ。
いつものように荷物を最小限にパッキングし、5時半に起床して6時頃に自宅出発。
京都駅から、6時50分頃の「はるか」に乗る。地下にあるみどりの窓口にてチケットを
買うついでに乗り場を聞く。今回は 30番。ちなみに、次々発は7番。難しい。

30番ホームで待機していた「はるか」に乗り込み、ゆったりした姿勢を作って
しばし休息。こんな時間でも(こんな時間だからこそ?)乗客の多い「はるか」で
静かに揺られること1時間強、新大阪−西九条−天王寺を経由して関空に到着。
もっと眠っていたいのに、強制的に起こされてしまう。うぅ、眠い。膨らんだ
カバンをズルズルと引きずりながらエスカレータを上り、国際線搭乗口へ。

国際線搭乗口は、相変わらずの渋滞具合。膨大な数の人間で埋め尽くされている。
手荷物しかない私は、カウンター前の渋滞に並ぶつもりは無い。E〜F島付近に
こっそりと(?)用意されている自動チェックイン機へ向かい、手早く処理。
・・・とかカッコつけて書いてみたものの、実は、自動チェックイン機による
処理は、今回が2回目。まだ勝手がよくわからない。直ぐ近くにて待機していた
JAL のおねーさんに手伝っていただき、指示されたとおりに処理を済ませる。
基本的に、eチケットで予約しているならば、処理は非常に簡単。パスポートと
マイレージカードを機械に突っ込む作業と、座席を指定する作業だけ。



チェックインを終えたら、F列付近で同行する先輩と合流。カウンターに並んで
荷物を預ける先輩の姿を横目で眺めつつ、先へと向かって手荷物検査へ入る。
手荷物検査の内容はいくらか強化されているようで、指示が細かくてうるさい。
まぁ、うるさいぐらいなのが安全なのさ。そう思って、荷物を検査してもらう。

だが、処理能力は極めて高い。あっけなく検査は終わる。その後、直ぐ下にある
イミグレに並ぶが、こちらも検査は手早く終了。ゲート前に到着した時点で
時計を見るが、恐るべきことに、ここまで 30分かかっていない。日本は優秀だ。



ラウンジで1時間ほどマッタリ過ごしたのち、いつもの JL793便にて空の旅。
あいにく関空では雨が降っていたが、離陸後に高度をあげる間にも無駄に揺れる
ことはなく、快適に巡航高度に到達。こうなったらもう、飛行機なんていう乗り物は、
掃除機を掛けられている横で窮屈なソファに座らされているようなものだ。快適(?)

やがて、機内食が運ばれる。今回の料理は、タマゴ色をしたご飯の上に、白身魚の
フライが載せられたおり、そこにミートベース(かな?)のソースがかけられて
いるもの。なかなか旨い。これに添えられた野菜とサラダも、なかなかうまい。
しかし今回いちばん驚いたことは、主食と副食だけでも充分に満足できるのに
さらに、それに加えてパンまで出てきたことだ。めっちゃ豪勢やないのー!



2時間ほどのフライトは、あいも変わらず機内食ネタだけで終わる。揺れも少なく
上海浦東空港に到着。直後に入った水洗トイレで時間を食ってしまったこともあり
入国のほうのイミグレで、すごい行列に巻き込まれて 30分ほど時間を浪費する。
いつまでたっても改善されんのう。たのむぜ中国。もっと効率を上げてくれ。

荷物のピックを終え、空港を出る。空を見ると、どことなく空気が黄色く霞んでいる。
そうか、ここは黄砂の本場。日本だけじゃないんだな、黄砂の被害を受けるのは。
ジェットエンジンがものすごく痛んでしまうんじゃなかろうかと思ってしまう。

タクシー乗り場に向かう。道路を見る限り、サンタナ以外のタクシーは増えたのだが、
残念ながら、今回もまた捕まえることができたのはサンタナだ。だが、サンタナという
クルマは、この国においては必要充分にパワフルな様子。浦東空港から上海市内を
つなぐ太い幹線道路を、猛烈な勢いでかっ飛ばす。目測で 140km/h 以上は出ている。
大人3人と荷物を載せてコレ・・・如何にボディーがペナペナか、ってか(汗)

今回の運転手もまた、なかなか運転が豪快。だが、不思議なぐらいに怖くない。
この運転手、ブレーキングがたいへん上手い。「キー」という高いスキール音を
微かに立てて、高速域から鋭く減速。それでいて、無駄なGが感じられない。
タイヤを上手く使っている証拠だ。だから、怖いという感覚が生まれない。
ブレーキ勝負させたら、日本のタクシーなんぞ相手にならん。



ホテルに到着。チェックインを済ませたら、そのまま会社に向かい、本日分の
打ち合わせを延々と実施する。一休みしたいところだが、そうも言ってられない。



夜 18:30(現地時間・・・日本時間だと 19:30)になったので、飯を食いに行く。
今回もまた、会社の近くにある大衆飯屋。何を食わされるかと身構えたのだが
少し辛みの強い、飽きの来ない味のメシだった。これウマイ、これウマイ。

何品かの料理をクリアする。次に運ばれてきたのは、本場のマーボー(四川)。
中にある具は、豆腐だけ。それが、OMEGA ギアオイルを10倍ぐらい煮詰めたあとに
ラー油を入れたような、魔術師しか使わないような色の液体の中に沈んでいる。
幾たびの想像を超えて不変。このマーボーは、きっと辛みだけでできていた――

「――食うか?」 という渋い声(CV:中田譲治)が聞こえてきそうなほどに
グレートなこいつをどのように倒そうか、まさに十二の試練なのかこの具現は、
などと思いながら、震えるレンゲをそっと豆腐に差込み、目を瞑って口へ運ぶ。

(記憶がない)

涙目で声無き訴えを上げる私の鬼気迫る様相に気づいたか、次の料理は
シャナにおけるメロンパンとでもいうべき、ふわふわでもふもふな揚げパンが
運ばれてきた。地獄に垂れた蜘蛛の糸。あぁ、カンダタはこの気持ちだったか。
この老いぼれた爺の、辛さで酷く麻痺した舌でも、舌触りだけはわかりますとも!

・・・ここまで食った時点で、ふと、おかしなことに気づく。
2005年に初めて訪れた当時と比べて、料理の味に対して違和感を覚えない。
中国の料理の味は、我々日本人には今ひとつ合わないもののはずだったのだが。
どちらが変わってきたのだろうか。上海なのか、私のほうなのか。驚きの連続。



20時を過ぎ、食事も終わる。互いに自分の持ち場へと戻るため、店を出る。
ホテルまでの道は、繁華街の中を徒歩 1km 弱だ。乾いた土色に崩れたセメントを
踏まないように千鳥足で歩く。100歩ほども歩いてから、気づく。そういえば、
香草の匂いがしないなぁ。日本における線香のように、そこかしこに香っていた
きつい匂い消しの香草。ほとんど気にならなくなっていた。これもまた、
どちらが変わってきたのだろうか。上海なのか、私のほうなのか。

ホテルに到着。汗に蒸せた服を脱ぎ、浴槽で洗濯しつつ仕事をする。仕事の段落が
ついて入浴中、備え付けのシャンプーの容器をなんとなく眺める。中国語なので
細かい意味はわからないが、とりあえず幾らかの連想はできる。まず、日本だと
当たり前田のクラッカーになっている「原材料の記載」が、まったくない。
何を使ってるのかわかんない(書いてあっても信用できるとは限らないが)。
だが、その代わり(?)として、SQマークが印刷されていた。品質を保証する
なんらかの規格のようだ。中国だと、SQマークと GB規格番号が権威のようだ。

ちなみに、SQ マークのデザインは、日本だとガソリンスタンドの給油器に
書いてあるマークとほぼ同一。相互に関係はないと思われるが、それにしても
給油器と同一の保証マークをつけられた薬剤の湯に浸かる気分は、中々微妙だ。


5/31

上海の夜は過ぎ、濃い靄に包まれた朝が来る。相変わらず、すっきりしない朝だ。

7時に起床し、8時にホテルのロビーで現地の社員と合流。今日は、南京への旅。
南京までの距離は不明だが、あらかじめ調べた情報によれば、上海市内で1時間、
上海〜南京間で2時間、南京市内で1時間の移動時間がかかるようだ。つまり、
関西から北関東に出張するようなイメージ。距離感がなんとなく想像できる。



ともかく出発。まずは、上海〜南京を結ぶ中国新幹線の発着駅となる「上海火車站」へ
向かう。中国語のことはよくわからないが、「火車」ってのは高速鉄道のことを
指すのだろう。発着駅までは、ホテルの近くの駅から地下鉄で移動できる。

現地社員の後を追って、地下へ降りる。まだ朝も早いせいか、照明がほとんど
全て消されており、まるで工事中の現場にしか見えない地下街。煤がついたように
薄黒く汚れた壁の板も、ところどころ剥がれている。しかし、こんな状態でも
地下街には犯罪の匂いが感じられない。ただ、人々は淡々と生活している。
さすがは共産主義国家というべきか。社会全体の秩序は比較的高く保たれている。

しばらく歩くと、同じように薄暗い地下駅へと到着する。切符の入手方法が
よくわからないので、現地社員にお願いする。その間、周囲を見回す。地下駅には
切符販売ブースのほか、自動券売機も置かれているようだ。自動券売機には、
お札と硬貨の挿入口が作られている(当然か)。だが、手持ちの紙幣を見ると、
半分千切れかけているようなヨレヨレのものばかり。こんな紙幣でも、ちゃんと
真贋識別ができるのだろうか。ひょっとして、中に人が入っていたりするのか?

やがて、膨大な数の人間でごった返す切符販売ブースから現地社員が戻ってきて、
私に1枚の硬質プラスチック製カードを手渡す。カードの表面を見てみると、
地下鉄の路線図か何かを象ったと思しき図面と、「単程票」という文字が書かれて
いた。意味は、想像できるとおり。片道切符である。日本のような小型磁気券では
なく、クレジットカード大のカード。却ってコストが高くなってしまうような?

カードを持って、自動改札へと向かう。先に通過する現地社員の様子を見ると、
自動改札機の手前にある丸い盛り上がりにカードをタッチし、ゲートを通過した。
ほうほう。上海でもタッチ式になっているのか。道理でカードになってる筈だ。

同じように真似をして通過を試みる。カードを盛り上がり部分にタッチすると、
緑色で「4.0元」という表示が出た。・・・うん、表示が出た。だが、目の前に
見える金属製のバーはまるで動かない。どうしたらいいのか。戸惑っていると
先に進んだ現地社員から「通って!」という声。あぁ、通っちゃっていいのか。
日本の改札のように「ガタン!」とドアが開いてくれると、わかりやすいのだが。
アッガイの三本爪みたいな金属製のバーを体で押してぐるりと回し、先へ進む。



ホームへと降りる。ホームから見上げる地下鉄の駅は、どこかで見たような風景。
記憶を巡らすと、阪急四条河原町駅と少し似ている。設計者が同じだったりして。

天井からは大型液晶パネルがぶら下げられていたり、線路との間には自動ドアが
ついていたりして、なかなかに近代的。見た目には中国の公共設備にあるまじき
綺麗さだ。けっこう最近になって作られたものだろう、と想像ができる。

やがて、地下鉄が到着。中国有数の大都市・上海の市街地中心部を走る地下鉄の
通勤ラッシュ時間帯の様相は、説明するまでもない。東京と同じように、鮨詰め。
ぎゅうぎゅうと押し込まれ、地下鉄の中に入る。身動きひとつ取れない。漢民族の
中にぽつんと混じった大和民族。だが、別に日本におけるラッシュと変わらない。
何が違うかといえば、そんな中でも携帯電話を使って大声で話す人がたくさんいる
ってことぐらいか。日本だと、その代わりに女性がみんなメール打ってるだけか。

人があまりにも多すぎるためか、黄色っぽい照明で照らされた車内の温度と湿度は
非常に高い。汗がだらだらと出てくるが、この混雑の中では、ハンカチすら出す
ことができない。ものすごくストレスがたまってくる。これから仕事をせねば
ならないのか。通勤電車って大変だなぁ。東京には絶対に住めないと思った。

しばらく我慢を続け、ようやく「上海火車站」駅に到着。階段を上って改札へ。
改札では、先ほどのカードを差し込む口が用意されていた。切符を回収するのと
まったく同じ感覚でカードを差し込むと、回収された。このカードはまた、
この駅から出発する客によって使われるのだろう。これはいいやり方だ。
そんなことを考えつつ、人の流れに従って歩き、地上へと出る。



地下の淀んだ蒸し暑い空気と違って、地上では・・・特に変わらない。やっぱり
なんとなく煙った不快な空気が出迎える。また、不快なのは空気だけではない。
灰色と薄茶色の2色が雑然と散りばめられた地上の景色もまた、どことなく
不快だ。いたるところで人が座り込み、大声を上げている。危険は感じないが
洗練されたものではない。まるで、銀河鉄道のチケットを手に入れられない人が
駅の前にスラムを作って住み着いているという、「銀河鉄道999」の最初のほうの
エピソードを彷彿とさせる雰囲気すら漂う。合間を縫うようにして、先を急ぐ。

昨日のうちに調達しておいてもらった中国新幹線のチケット(紙製)を持って
駅に近づく。共産党のモノらしい、真新しいスローガンが掲げられた駅の前に、
ひときわ大きな人だかりができている。何かと思って見れば、なんでもない
広場の隅のほうに、新幹線乗り場への入り口があるようだ。金属製の柵の一部に
切れ目が作られ、駅員一名が目を光らせている。なんの看板もない、よなぁ・・・

チケットを見せながらゲートを通過し、駅施設の前へと移動する。そこにあるのは
X線検査装置。うわ、たかが新幹線程度なのに、なんだこの警備の厳重さは!
X線検査装置のベルトコンベアーの上に荷物を置き、すばやく場内へ。出てきた
荷物をすぐにひっ掴み、エスカレーターを上って施設内へと入る。中は薄暗いが
それなりに店舗が存在し、賑やかな雰囲気はある。人の数も非常に多い。

施設内のメイン通路を歩くと、通路の脇でまたもや人だかり。そこに近づいていく
現地社員。よーく見れば、人だかりの隙間に駅員の姿が見える。そこがゲートらしい。
だが、自動改札機がないような・・・はて、いったいどこに改札にあるのやら?

疑問に思いつつ、ゲートに近づいて駅員にチケットを見せると、
おもむろにチケットと掴み、カチリ、と切符に鋏を入れる駅員。

・・・鋏と来たか!私がまだ小学生の頃に、最寄の駅で見たっきりの光景だ。
懐かしい思いを感じたのと同時に、「新幹線」というハイテクと「鋏」というローテクが
同時に存在することを普通に許容する中国という国に、恐れに似た感情を感じた。



人力改札を通ると、そこは待合室。コンクリートむき出しで薄暗く、広い空間。
そこに、大量の椅子が並べられている。古い都市の大病院、ってな感じだろうか。
薄ら寒い光景なのだが、外に広がる薄暗い景色にはぴったりマッチしている。
出発までは少し時間があるので、じっと待つ。人の集団が、現れては消える。



ちなみに、電光掲示板の表示は、赤一色ってのが非常に多い。少し読みにくい。

そのうち、自分の乗る電車の案内が出たので、案内どおりにホームへ向かう。
そこには、ただひたすらにだだっ広い空間と、「和諧号」が待ち構えていた。


(上の写真は、南京駅で撮影したものです)

「和諧号」という中国名ではあるものの、実態は「はやて」。日本の新幹線だ。
それを証明するように、室内の電光掲示板は緑色と橙色基調の大人しいデザイン。
そして、非常に明るくて広い室内。室内の表示は中国語だが、日本の新幹線だ。



快適な室内空間を保ったまま、するすると走り出す新幹線。ただ直線に作られた
専用の広軌を、まったく曲がることもなく一気に加速し、上海市街地を進む。



しばらくすると町を離れ、郊外へ出る。茶色じみた色合いで包まれている景色。
・・・とりあえず、汚い。何が汚いかというと、どこかが必ず崩れているのだ。
上海でも感じたことだが、視界の半分が茶色くて、どこか一部が必ず崩れている。



80点主義の私が言うのもなんなのだが、なぜ最後まで完成させないのか。
なぜベストを尽くさないのか。画竜点晴を欠くというべきか。不思議だ。



なんてこと言ってるうちに、鉄道は南京に到着。駅を出て、タクシー乗り場へ。
タクシー乗り場に並んでいると、上海では公園以外で見かけなかった物乞いが
近づいてきた。スリとか居ないだろうな。何があるかわからないので、超用心。

物乞いを無視しつづけ、やってきたタクに逃げ込む。タクはいつものサンタナだ。
サンタナに揺られ、市街地の中心地へと移動する。南京も、上海に負けず劣らず
立派に発展した町だ。ただ、やっぱり全体的に薄茶色で埃っぽいのが気になる。

目的地付近に到着。適当な飯屋に入り、メシを食う。案内された場所は、なぜか
一段高くなった舞台のような場所の上に作られたテーブル。現地社員いわく、
まるで結婚式のようです、というテーブル。豪華にも程があると思った(笑)
そんな豪華極まりない場所で、これまた豪勢な昼飯をいただく。



昼食後、会議まで少し時間があったので、店を出て外を歩く。道路沿いに、とても
古びた中古タイヤ屋があった。舗装が崩れ泥にまみれた店の前には、どう見ても
磨耗しすぎたタイヤが無造作に積み上げられている。さらに、子だくさんの家族と
思しき一員の子供が、黒い顔に黄ばんだ襤褸をまとった井出達で飛び出してくる。
店の横の窓を見れば、毛をむしられて白い肉を晒した鶏が沢山ぶら下がっていた。
おぉ、まるで香港映画あたりに出てくる景色そのものではないか。かなり感動。

そんな店の直ぐ横には、大木を数本擁する小さな公園が1つ。緑に溢れた空間には
平日昼間にもかかわらず、妙な踊りを踊っているごっついおっさんが1名、そして
白髪の老人が1名。そして、木にぶら下げられた小さな籠に入ったメジロが2匹。
・・・なんだ、この光景。中国拳法の達人の練習風景か?四千年の歴史は不思議。



つかの間の休憩ののち、先方の会社へ。かなりきわどい戦いを繰り返す。
ぎりぎりのラインで交渉を完了。日本の常識が通じないオフショアは地獄だぜ!

夜、先方の人と一緒に食事会へ。偉い人ばっかりなので、また緊張する。
こんどもまた、超立派な飯店。出てくる料理も豪華絢爛。身分に合わないよ(汗)
その食事会の場で、会議が長引いたため、 南京で宿泊するための宿を確保したと
告げられる。確かに、今の時間からでは中国新幹線に乗って帰るのは難しい。
手間が省けて助かった。交渉は喧嘩腰だったが、なかなかいい人たちのようだ。



食事会の後、ハイヤーに乗ってホテルまで移動。南京もまた、交通マナーは悪い。
真っ暗な交差点で、平気で信号無視して横断する歩行者と自転車。根性あるな。

ほどなく、ホテルに到着。非常〜に立派な、巨大なビル。チェックインを済ませ、
案内されたとおりの超高層階の部屋に入って驚く。なんですかこの部屋は!



・・・全部で4部屋もある、ホテルの角に配置された部屋。どこの VIP ですか俺。

だが、そんな立派な部屋にも関わらず、インターネット接続用の LAN ケーブルは
見事に断線していた。さすが中国、微妙な部分のクオリティは期待は裏切らない。



その後、夜食を調達するため、先輩とともにホテルを出て少し歩く。
そこは巨大なホテルが集まる立派な場所だが、少し歩いて通りへと出ると、
そこはもう、きわめて危ない感じの木屋町風な路地になる。真っ暗な通りに
薄暗い明かりでぼんやりと浮かび上がる小さな屋台。その周囲に群がって、
猥雑な調子で会話に興じる若者の集団。さらに、道路の反対側で煌々と輝く
原色きらびやかなネオンの光。あぁ、ここは・・・来てはいけない場所だ。

そんなことを思いながら、先へと歩く。ただ、早足で歩くと気取られる(?)かも
しれないので、なるべく超然とした様子を放つように留意。だが、そんなものは
虚勢でしかない。背後から音も立てずに近づいてくる電動バイクが1台いただけで
脈拍は一気に跳ね上がる。いけない、ここは、旅行者が歩いていてはいけない。

なぜか緊張感が0の先輩を、変な方向に歩かないようにそれとなく誘導し、
食事を調達できる場所がどこにもないことを手早く確認したら、ホテルに戻る。

輝ける闇・・・か。私は、開高健や宮嶋茂樹のようには成れそうもない。